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2011年5月11日

第46回 抵抗があることをやる

最近Steven Pressfieldという作家のThe War of Artという本を読みました。 彼はフィクションでベストセラーを数本出し、また映画脚本なんかもやったことのある人なんですが、遅咲きでもあり初めて本を出版したのが50歳過ぎてから。 この本はでもフィクションではなく、芸術などクリエイティブなことをやる人へ向けた彼の推察や理論などを書いた本です。

彼によると、世の中にはResistance、つまり「抵抗」する力があり、人が芸術や運動、社会活動などなんでも「よいこと」をしようとするとそれに対する「抵抗」も感じるものだそうです。 しかもその「よいこと」がその人にとって大事であればこそ、またその「よいこと」の秘める可能性が大きいほど「抵抗」もまた大きくなる傾向がある、と書いています。

やらなければいけない大事なことがあるんだけど、ついつい些細なことの方から始めてしまい、大事なことの方が後回しになる、という体験は皆さんもあるかも知れませんが、僕にとっては痛く痛感することです。 大事なことというのは重荷になりがちでなかなか取り組む勇気やエネルギーというものがわいてこないんですね。

僕にとってはギターなんかそうで、実は「楽しい」とかそういう趣味みたいな感覚で弾いているんではなくて、もっと別な次元で「これはやらないと後悔する」みたいなある意味強迫観念みたいなものがあります。 でも若いときなんか特に自信が持てず、いつも練習していて頭に来るのはいかに今の自分のレベルと自分の尊敬しているギタリスト達とのレベルのそのギャップが大きいか、そんなことばかりでした。 そのあまりの違いにやる気をなくしてしまい、コツコツ練習すればいいというのはわかっているのにでも「あんなにうまくなれるわけねえ」とふてくされて練習しじまい。 

でもそう考えることの反面は、実は心のどこかに「自分もあのレベルにいけるぞ」と思っているところがあるから、そう考えるわけですね。 その秘めた可能性を察知する感覚というのは結構大事というか、もっと信頼すべきだと僕は思うんです。 最初から器が小さいとわかっていることをただ「楽しい」からやっているときはもちろん期待も小さいですからそれをすることが重荷になったり、抵抗を感じたりしないんです。 

別に自分のギタリストとしての器がどうというわけではないですが、しかしギターを弾くということは自分にとって大事なことであることは間違いないです。 ギターほど難しくて、でも充実感と達成感をもたらしくてくれるものは僕にとって他にないんです。 だから「抵抗」に負けずに毎日コツコツと練習していくこと、それをついに習慣づけた最近の自分には少し自信が持てるようになりました。 まだ毎回「ああ、ヘタクソだなあ」と嘆きながら弾いているんですけどね。(笑)

どうでしょう。皆さんもギターを弾くのが楽しいとわかっていながらしかし何かしら雑念や邪魔が入り結局弾かずじまいということがありませんか? 「抵抗」を感じるというのは実はよいことで、「抵抗」が大きければ大きいほどそれはやらなければいけない大事なことだから、頑張ってコツコツやる、そういう道しるべ的な風に解釈することもできるわけです。 「抵抗」を乗り越えてやったときの達成感はまた格別ですよ。 

頑張りましょう。

投稿者 ari : 2011年5月11日 03:11