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古市コータローインタビュー (2/2)

音へのこだわりとアイゴンとの出会い

PCI:小細工なしのストレートなプレイがコータローさんのスタイルだと思いますが、どのようなギタリストの影響が強いのでしょうか?

コータロー:ピートタウンゼントですね。 プレイは.... もちろんスタートが、さっき言ったようにギターを買って弾かなかったんですよ。で、弾こうと思ったきっかけがパンクですから。やっぱりダムドとか初期のパンクなんですよ。コードワークのかっこ良さにあこがれてとにかくギターを弾きたくなったんです。 そうこうしているうちに世代的にAORとかがはやりだして自分の中でミクスチャーを始める訳ですよ。

PCI:今でいうミクスチャーと違った意味でのミクスチャーですね。

コータロー:パンクが好きだって言ってるわりにはTOTOの“グッバイエリノア”も弾きたいという自分がいる訳ですよ。 それはそれで面白かったと思うんですけどね。 でも思うのはパンクみたいな初期衝動あって....... やっぱり60年代が好きなんだよね。 クリームとかがすごい好きになって、あの当時のクラプトンかっこよかったな、あの感じかな〜ものすごい憧れて。好きなギタリストはファッションがかっこよかったりとか、そう言うのが結構重要で。

PCI:ジエイ・グレイドンやサンタナもよくコピーされたそうですが?

コータロー:さっき言ったミクスチャーの一つとして、あと僕らの頃は今ほど情報が無かったんで、ロッキンーFに付いてる譜面とかって必ずジェフ・ベックやサンタナだったりするんですよ。 タブ譜があれば弾こうと思うじゃないですか?

PCI:今は恵まれてますよね。

コータロー:恵まれすぎてて、今はビデオで見れるけど、あの頃楽器屋へ行って上手な店員が弾いてるのとか、上手いやつが試奏してるのを横へ行って見て、どうやってるか盗むしかなかったもんね。

PCI:最近よく聞くCDとか気になるミュージシャンとかを教えてください。

コータロー:スクイーズのキーボードの彼がいろんな人を集めて作ったCDスティング、ポール・ウェラー、クラプトン、ジョージ・ハリスンとかビッグバンドで、あれかっこよかったですね。ジョージ・ハリスンがたぶん遺作なんだけど入ってて、そのギターソロがすごい良くて。 自分が目指す感じで上手いんじゃないんですよね〜。 でもとにかくいい、ぐっと来るんですよ。本当に豪華メンバーですよ、ギルモアがいたり、バン・モリソンもいて、ジョー・ストラマーもいて良かったですよ。

PCI:クラッシュとか最近よくVH1で掛かるんですけどかっこいいですね。ミック・ジョーンズなんか上手くないんだけどすごく決まってて。

コータロー:やっぱ、あれはパンクのなんかヘタだけど勢いがあって、クラッシュのスタイルなんて彼が作ったからね。 そういうのがかっこいいと思いますね。

PCI:次はアイゴン(曾田茂一)との出会いについて聞かせてください。演奏スタイルはずいぶん異なるお二人ですがその接点はいつごろなんでしょう?

コータロー:アイゴンとはお茶の水の楽器屋で知り合ったんですけど、聞いたら僕の友達の後輩とバンドやってたんですよ。それで何となく仲よくなって。その頃、僕ストラップを2本つないでヒザの下でギター弾いてたんですね。 それを見に来たりして。 で、その頃おれがエフェクターを使ってない頃で、歪まない音ですごいパンキッシュなプレイをしてたもので、彼はそれを見て「あっ、歪まないのもいいんですね。」みたいな話をしたのを覚えてるな〜。「歪まなくてもこういうフィーリングあるんですね〜」みたいな話をしましたね。 その頃から彼はすごい歪んだ音出してたんですよ。(笑)

PCI:その当時から彼は歪みまくってたんですか?

コータロー:歪んでたね〜、す〜んごく。

PCI:その後彼はコータローさんのローディーを始めるんですか?

コータロー:いや、それからずいぶん経ってからですよ。コレクターズでデビューしてから。アイゴンもどうしようかな?見たいな感じだったんでしょうね、じゃとりあえず手伝ってって感じで声をかけて。

PCI:それじゃあデビュー前からのつき合いなんですね?

コータロー:ええ、そうです。 出会ったときはアイゴンまだ高校生だったから。 僕もまだ20〜21才ぐらいで、よく二人で色んなこと研究しましたよ。 「あいつのエフェクトボードどうだ?」とか、結構二人とも以外と機材オタクで、アイゴンは今でもそうだけど。 当時は俺もすごい詳しくて、「あいつは多分これを使ってあの音出してる。」とか、夜な夜なやってましたよ。俺のME-5のセッティングも全部アイゴンにやらせて、おれはパッと弾いて「そこ、あと5上げてくれ。」とか。それで二人で音創ってメモって持ってましたね、その資料は。俺とアイゴン二人でいろんな音を創ったけど、今でもいい音創る自信ありますよ、ふたりで。  彼は素晴らしいギタリストですよ。

PCI:でも今は好対照な二人ですね。 アイゴンは相変わらずエフェクターに囲まれてゴキゲンですし、コータローさんは極力使わないスタイルで。 結局ライブで使うのが煩わしいんですね。

コータロー:そこを伝えてもしょうがないかなって今は思っているんですよ。 違うところを伝えたいなって。 要するにプレイヤーが気持ち良く弾くために、例えばリバーブをかけたとしても見に来ているオーディエンスには関係ないと思うんですよ。 そこに満足感を得てしまうと割り切ったスタジオミュージシャンみたいな気持ちになっちゃうと思うんです。 ステージに立つっていうのと違うと思うんですよ。 対オーディエンスって考えると、やっぱ違うと思うな〜。

PCI:何度かイギリスでレコーディングされてますが、ブリティッシュロックにルーツがあるっていうのが大きいんですか?

コータロー:そうですね、全くその通りですね。

PCI:どうですか? レコーディングの間、滞在してみて。

コータロー:好きなバンドがいる国で、あこがれがあるからいいですが、日本が一番好きですね。 楽器でも何でも日本が一番揃ってるじゃないですか。 ただ向こうだとすごくいい気分で演奏できますね。

PCI:レコーディング機材、特に卓はイギリスが本場ですよね?

コータロー:あのね、トラックダウンで感じるのは、日本で録音した音源を立ち上げても全然違うね。 これは一般的に電圧の差っていうじゃない? 本当かよって思うけど本当ですね。

PCI:エンジニアとかじゃなくて?

コータロー:う〜ん、イギリスからエンジニアを呼んで日本で録ったこともあるんだけれどやっぱ違うね。 向こうで録った方が音がいい。 本当に電圧なんて目に見えないもんだしウソー?って思うじゃないですか? でもそれしか考えられないもん。とにかく日本で録るのと全然違う。でも向こうのエンジニアすごいですよね。 何が違うんだろうな?

PCI:ところでコータロさんはコレクターズであまり曲を書いていませんよね?

コータロー:いや、ソロアルバムもつくるし、人に書いたりもするんだけど、コレクターズでは純粋にギタリストでいたいので意識的に書かないようにしています。

PCI:さて最後の質問なんですが、コレクターズのこれからの活動予定は?

コータロー:いつもリーダーと話すのは、日本には例えばフーやストーンズみたいに長く続けているバンドがいないので、僕達は絶対それをやろうって言ってるんですけどね。 僕らも今年でデビュー15周年なんですよ。

PCI:おめでとうございます。 それだけ長い間バンドを続けていくのは大変だと思います。 同じ年にデビューしたバンドで現在も活動しているバンドってありますか?

コータロー:ないですね〜 ほとんどないです。 なんかその辺はぜひ頑張りたいと思います。

PCI:今年はまた新しいCDを出す予定は?

コータロー:もちろん出します。

PCI:期待しています。 今日は長い時間お付き合い頂きありがとうございました。

デビュー15周年を迎えてますます元気なコータローさん、常にオーディエンスの立場を考えてプレイするその姿勢には頭が下がる思いです。 これからも頑張って20年、25年とコレクターズを続けていってください。 コレクターズのライブをまだ見たことのない人は是非1度足を運んでみてください。 とてもまとまったバンドで、グルーブ感はさすが長いこと続いているバンドならではのものです。 またコータローさんのギターの魅力もCDではとても味わえないもので、ダイナミックでワイルドで素晴らしいプレイを見せてくれます。

特報!来月からコータローさんがPCIのコラムを担当してくれることになりました。長い音楽生活での楽しい話を期待してください。

デビュー15周年を迎えた
The Collectors の新アルバム "Glitter Tune" が発売!!
 
リーダーの加藤さんとコータローさんにインタビューをしました。こちらをどうぞ!