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2005年9月10日

第15回:モナコとわたし

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あこがれのグレッグと一緒に。

しばらくのご無沙汰です。みなさんお元気ですか。私のほうは相変わらずギグにレコーディンングにと毎日がんばってます。先日モナコのモンテカルロという所に仕事でいったので、今回のコラムではいろいろモナコで起ったことを書きます。

まず、この仕事の電話がきたとき私はおもわず涙してしまった。というのも、バンマスがかの有名なグレッグ・フィリンゲインズだったのです。万が一グレッグを知らない方のために、ざっと彼のプロフィールをいうと、デトロイト出身、17歳の時にスティービー・ワンダーのキーボード奏者になり、その後マイケル・ジャクソンの音楽監督として、ツアーを重ね、現在はTOTO、パティ・オースチンなど数々のアーティストのバンマス/キーボード奏者として大活躍。そして、実はマイケル・ジャクソンの隠れファンの私は、いつかグレッグと一緒に仕事をすることをずっと夢みていたのです。という訳で、この仕事の電話がきたときは、思わず「やったー」と叫んでいました。世の中にはお金持ちでいくらお金を使っても余ってしまう人というのがいるものですが、今回の仕事はそういうお金持ちの人の誕生パーティーで4人のアーティストのバックバンドで弾くというものでした。アーティストは、ライザ・ミネリ、ナタリー・コール、シャーリー・バスィー、BBワイナンの4人。

エアラインはブリティッシュ・エアウエイ(以下BA)、今までかつてないビジネスクラス。ただ、行きはかなり大変だった。なにしろBAの食べ物を管理する会社がストライキ中で、いったん飛行機に乗ってしまうと、冷たいハムサンドだけしかなかった。飲み物を頼んでも、氷がないときた。とてもひもじい思いのするフライトとなった。ビジネスクラスの思いっきり手足伸ばせるいすでゆっくり寝れるなと思ったが喜びすぎてかえって眠れなかった。(この貧乏性何とかならないの!!)無事ニースについてそこから車で約30分、モンテカルロについた。モンテカルロというと昔庄野真代さんの "モンテカルロで乾杯"という曲があったなぁぐらいしか覚えがないが、(また年がばれてしまう)、まぁ地中海に面した、リゾート地としてかなり有名らしい。車から見る海と山のコントラストは見事だった。部屋について一息いれてから、メールをチェックするためにビジネスセンターを探しにいく。なんとかたどり着くと、インターネットは30分で10ユーロドル、これは2000円くらい。ゲゲゲー高い!と思ったがとりあえず家族に無事についたことを知らせるのに30分のカードを買い、オフィスへいった。とタイプをしだしたらぜんぜん思ったホームページにつながらない。こちとら30分の制限時間のなかで、メールを出して、チェックしなくちゃいけないのに、、、、とあせってきたら、なんだ!キーボードのAのところがQになってる。これはフレンチのキーボードの配列か。おまけにピリオドの場所も違う。そのせいでかなり時間をとられた。and とタイプしたいのに、qndになってしまう。習慣というのは恐ろしい。

着いた日はオフだったので、とりあえずがんばって9時半まで起きてたけど、いつの間にか寝てしまった。

翌日、朝6:30に目をさまし、とりあえずすることもないし、プールへ泳ぎにいった。とはいってもこの日は外は嵐、雷がガンガン鳴っている中おどおどしながら泳いだ。そのあと、31ユーロドル(約5千円)の朝食(バイキング)を食べ(また値段の高いのを根に持ってる私)、その日5時からあるリハーサルのためCDを聞いた。リハーサルはかなりドキドキ。というのも一応演奏する曲はCDでもらってはいたが、楽譜のほうはリハーサルの時に初見で弾かなくてはいけない。トップはBB WINAN, 彼はゴスペル音楽の世界では結構しられている人。バックコーラスがいるかな?と思って聞いてみたら、「頼むよ」といわれて張り切って歌ってしまった。私はバックコーラスでハーモニーさえ歌ってたら幸せなのだ。

次はライザ・ミネリ。彼女の曲は、キャバレーとニューヨーク・ニューヨーク。キャバレーはテンポがかなり早くおまけに楽譜はCDより半音下のキーになっているので、目ん玉が顔から飛び出すぐらい必死で楽譜を読んだ。ニューヨーク・ニューヨークはとてもドラマチックなアレンジになっていて「さすがプロ!」と私はとても感心してしまった。ライザの絶妙な間の取り方、やっぱりベテランは違うなぁ。

そのあと、シャーリー・バスィ。彼女のヒット曲はゴールド・フィンガー、とヘイ・ビッグ・スペンダー。これまた、うまく後半で盛り上がるアレンジになっていて感心。ナタリー・コールは今日はまだホテル入りしてないということで、バンドだけの練習となった。This will be という曲でホーンのパートとバイオリンのパートを両方弾いたら、グレッグが「今までいろんなプレイヤーとこの曲したけど、2つのパートをきちんと弾けたのはのりこが初めてだ。」と言われて、天にも上る気持ち。「あのー、じゃあマイケルの仕事下さい!」と思わず言いたかったがそこをなんとか我慢。「Thank you!」とだけいっておいた。

その日の夜はバンドのみんなと外食。イタリアン料理の店へ。ここでニョッキを食べたが、これがかなり重くてちょっと胸焼けになってしまう。今回のバンドはもちろんキーボードのグレッグ、ギターのジェームス・ハラ、ベースのレジー・マクブライド、最後にドラムのトレバー・ローレンス・ジュニア。トレバーと私はここ2年ほどあるスムースジャズアーティストと仕事をしていて、それがきっかけでこのモナコのギグをゲットした。トレバーのお父さんは有名なサックスプレーヤーで、トレバーも若いのに第1線で活躍をしている。スティービー・ワンダーをはじめ、ジェニファー・ロペスの仕事もしているそうだ。私はジェニファーのファンなのでかなりうらやましい。(でも実は彼女のキュートなおしりを後ろから見られるっていうのがうらやましいのかも??)「特等席だよね!」っていったらうれしそうに「うん、うん」とうなずいていた。食事のあとホテルに戻って、また明日の準備のためCDを聞いた。

ショーの当日、9時起床、またまた例の朝食を食べた。今日は12時から最終リハーサルがあった。が、またまたナタリーは来なかった。なにしろ今日モナコ入りでいろいろ忙しいらしい。とりあえず全部の曲を一通り、演奏してあとは本番を待つだけ。会場はスポーティングというところで、観客側、の天井が開いて外が見える仕掛けになっている。ここでは数々のアーティストがコンサートをするそうだ。リハのあと、ベースのレジーと一緒に楽屋へ食事にいった。ホテル以外で食事ができるのがとても新鮮でこの楽屋の食事がけっこうおいしかった。そのあといったんホテルに戻って、9時45分にショーにいくための迎えの車がきた。なんだかんだいって、実際ステージにあがったのは11時半ごろだったかな。スピーチのあとに今までにみたことないようなすごい花火があがった。バックミュージックはディズニーのライオンキングの曲。そして花火のあとが私たちの出番。ショー全体の感想としては、やはりライザ・ミネリがすばらしかった。ひとつひとつの言葉の深い意味が伝わってくる歌い方。ナタリーのアンフォゲッタブルは土壇場でBB WINANがデュエットすることになり、歌詞カードをみながらのパフォーマンスとなったが、なんとか無事終わった。私は一生懸命ストリングのパートを弾いた。でも私にとってやっぱり一番うれしかったのは、グレッグ・フィリンゲインズとの共演だなぁ。彼のピアノプレイには学ぶところがたくさんある。そして彼のバンマスとしてのうまさみたいなものも体験できてとても有意義だった。

そうこうしているうちに、もう帰る日。朝、9時にロビーで待ち合わせて空港に向かう。また飛行機でサンドイッチぜめかなぁと思ってたら、今日は一応ホットミールがでるとのこと。やれやれひと安心。ニースからロンドンに着いて乗り換えのため3時間ロンドンの空港で時間つぶし。ドラムのトレバー、ギターのジェームスと一緒にBAのラウンジへ。みんなの荷物を見ている間にショッピングをしてきたトレバーは自慢げに新しく奥さんに買った携帯電話を見せてくれた。デザインも斬新でアメリカにはないタイプ。130ポンドだったそうで、本人いわく「こんなお買い得なものないよなぁ。65ドルだよー。」と超得意げ。その時点で私は「うーん。ポンドをドルに換算するときは確か2倍になるんじゃなかったかな?」と思いつつ定かでないのでだまって「よかったね。本当にかっこいいデザインだねぇ。」といっしょになって喜んでた。さて2時間後、そろそろ搭乗口に行こうと3人で歩いて10分、搭乗口に着いて話してたらトレバーが、「やっぱあの電話すごいお買い得だし、もう一個かってこようっと。」と言ってまたラウンジのあるターミナルまでいってしまった。残された私はジェームスに、1ポンドって何ドルなの?と聞いたらよく知らないという。でその辺にいる人を捕まえて聞いてみたら、やっぱり1ポンドは約2ドルの換算になるそう。「ど、どうしよー、もう一個電話買いにいっちゃた。」そうこうしているうちに笑顔のトレバーが戻ってきて「ったく、こんなお買い得ないよな。65ドルだぜ。なっ?」といわれて私たちはどう答えていいかわからない。ただ顔をひきつらせるだけだった。帰りの飛行機では映画を2本みてあとはずっとトランプのゲームで遊んでた。相変わらず興奮してあんまり眠れなかった。ということで私のモナコギグ無事終わりました。

いくつか写真があるので、見てみてください。またグレッグと仕事できたらいいなぁ。

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バンドのみんなとイタリアンレストランへ行ったときの写真。 左から、トレバー、レジー、私、ジェームス。
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ドラムのトレバー。とってもダイナミックなプレイをする。 彼がグレッグに私のことを話してくれてこのギグにたどり着いた。心から感謝、感謝。
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新しく買った付け毛でポニーテール。息子には全く評判がよくなかった。
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せっかくの付け毛なので、セルフタイマーで記念の一枚。もちろん付けまつげもつけた!
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キーボードの前のグレッグ。
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ギターのジェームス。20年前のライブ8ではマドンナと共演したそうだ。
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ビジネスクラスは飛行機の2階。静かで快適!
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私たちの泊まったホテル。プライベートビーチもあってとてもきれいだった。ちなみに外のプールは塩水だった。
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コンサート会場前のすばらしい噴水。わたしのお気に入りだった。

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投稿者 admin : 03:28