« 2003年12月 | メイン | 2005年1月 »

2004年3月16日

第11回:ラスベガスとわたし

Clockwork.jpg
Clockwork 左からチャッド、ゲリー、キム、私、エリック、ジーンです。

ここんとこラスベガスへ行く機会が多くなった。というのも新しく "Clockwork" というバンドと仕事をすることになったからだ。Clockworkは6人編成のバンドで(ドラム、ギター、ギター、ベース、女性シンガー&私)このバンドはわたしにとって初めてのロックバンドである。前のコラムにも書いたので覚えている読者のかたも多いと思うが、何しろ小さい時から、さだまさしかジャズしか聴いてこなかったわたしなので、最初にこのバンドのソングリストをもらった時はあまりにも知らない曲が多くて自分が情けなかった。もちろんカバーバンドなのだが、ジャンルはカントリーからクラシックロック、R&Bまで結構なんでも来いというノリだ。ここ最近一か月に5~10日はラスベガスのミラージュというホテルで演奏している。今回のコラムではこのClockworkとの仕事ぶりも織りまぜながらラスベガス滞在の模様を日記形式でお届けします。

3月7日
朝7時半起床、昨日の夜にやり残したパッキングの続きをする。このギグは1台だけホテルにキーボードがあるので、自分のを1台持って行かなくではならない。おまけにカバーギグなのでラスベガスまでは自力で行かなくちゃいけない。優雅に飛行機では行けないということ。これはもう半年以上前になるが、ラスベガスへ行く砂漠の真ん中で急に私の愛車、プレヴィアがモクモクと煙をあげはじめサンザンな目にあった。その時は最寄りの町までけん引してもらいレンタカーをしてショーのはじまる10分前にギリギリ駆け込みセーフだったのだ。(平均時速90マイルで飛ばした、飛ばした。)なので今回はわたしの婚約者でもありClockworkのドラマーでもあるチャッドの愛車ホンダ・アコードで行くことにした。(といってもこのアコードもイマイチあやしい)11時すぎにいざ出発。

もう何度も行ってるので途中の町の名前やストリートの名前は自慢じゃないけど全部知ってる。おまけにトイレ休憩にいつも使うガソリンスタンドのおじちゃんとまで友達になった。BAKERという町をちょっと通りこしたところに「ZZYZX」という名前の通りがあってこれはどう読むんだろうと真剣に悩んでしまったことがある。答えは「ズィズィックス」なるほどな。短いトイレ休憩を一度とるとだいたい3時間半ちょっとでつける。今回はバンドリーダーであるゲリーと途中合流し2台で連なって走ったりした。がゲリーがとばす、とばす。途中でゲリーに着いていくのをあきらめ、トイレ休憩。

ホテルについたのは、3時ちょっと前。それからまずキーボードをセットアップ。ショーがはじまるのは5時半。なので少し休憩。ギグ初日の日曜日はみんなかなり疲れ気味、前の晩に仕事をしてほとんど寝てないという状態の時も多々ある。そこで登場なのが“イエガマイスター”咳止めのシロップのようないやな味のお酒(アルコール度はかなり高い)。だがバンドのみんなはこれなしでは生きられないようだ。休憩中にバーテンダーに隠れて持参したイエガーをゴクゴク飲んでいる。このバンドは私がいままで仕事してきたバンドと違ってほとんど白人でなぜか全くノリが違う。わたしとしては少しでもなじもうと最初のころは無理してイエガーを味見したりしていたが、最近はもうついて行けないのがわかったので、もっぱらクランベリージュースの世界だ。

5時半から9時のショーが無事終わって、みんなでキャフェテリアで食事をする。ここはミラージュの従業員用の食堂だ。といっても毎日いろいろメニューが変わってそんなに悪くない。今日はたまたま私の好物のチリマックというおかずがあり私は1人でキャーキャー喜んでしまった。ピリっと辛いチリとマカロニのコンビネーションがたまらなくいい。ただ、気をつけなくてはいけないのが、“食べ放題”ということ。一番危ないのがソフトクリーム。ついいっぱいチョコレートソースをかけて食べてしまうのだ。みんなでくだらない話をして楽しいひととき。部屋に帰ってすぐ就寝。週末からの睡眠不足をここで解消しないと。

3月8日
昨日早く寝たせいかけっこう早く起床。お昼前に例の食堂でごはん。これはチャドといっしょ。普段はツアーなどで会えない時も多いが、このラスベガスの仕事の時は24時間一緒。これもいいんだか、悪いんだか。なにしろ彼はテレビ大好き君で私はテレビなしでもぜんぜん平気(というかあんまり好きじゃない)。ここで問題が生じる。あと朝方の彼は早く目を覚まして、まず最初にすることといったら、テレビをつけること。それでも普通のニュースみたいなのをみててくれたらまだいいのに、私のおばあちゃんが好きそうな、朝のゴシップ番組なんかをみだされたらこっちはたまんない。聞こえないふりをして無理に寝る私。彼が新しいスニーカーが欲しいというのでご飯のあと、チャールストンどおりにあるアウトレットへ買い物に行った。

GUESSというブティックへ行くと結構すてきな男物のシャツを見つけた、が私は絶対無理に勧めない。前に彼は、私がすごくお勧めしたシャツを買ったのはいいが一度もそでを通さなかったからだ。あくまでも「うーん、このシャツかっこいい。あなたに似合うかなぁ、、、」ぐらいにしておいて買うか買わないかの決断は本人にさせる。これがこつだ。そのあとNIKEの店にいって$10でバスケットボールを買った。これは息子のオーシャン用。帰りは車でラスベガスのストリップをずっと走った。いろいろなホテルがあってすっかり観光気分。

無事ミラージュに戻り、ギグ2日目。みんな少し体力を持ち直したのか今日はどの曲も少しテンポが早めで元気な感じ。リードシンガーのキムはもとミス・アラバマだけあってとってもチャーミングな子。わたしが普段よくいっしょに仕事をする黒人の女性シンガーたちとはもちろんパワーはちょっと下がるかもしれないけど、カントリーの曲や昔のオリビア・ニュートンジョンなんかを歌わすととても声にあっていてなかなか味がある。リーダーのゲリーはテキサス出身、なかなかの男前で歌もうまい。また彼はギターも弾く。彼はビートルズのジョージ・ハリソンが好きでこのバンドに入ったおかげで私のビートルズコレクションは広がったのだった。リードギターのジーンは確かロス出身だったと思う。かなりクレイジーなやつ。ユダヤ人であることをすごく誇りに思ってて、ロックの曲やってんのに急にユダヤの有名なポルカの曲を歌い出したりする。おまけにこの日は退屈だから、というだけの理由でリードシンガーのキムの持ってる睡眠薬を仕事中に飲み、「うーっ、頭がくらくらしてきたー」とかいいながらギターソロをしていた。みんなが「ジーンのソロ今日きまってるなぁ。毎日睡眠薬飲んだ方がいいよ。」と話していた。ベースはPCIにも何度か登場しているエリック.ベインズ。コロラド州デンバー出身。彼はベースもうまいが歌も格別うまい。日本へのツアーにもいっしょに行った私のソウル・ブラザーだ。で、最後にドラマーのチャッド。ここミラージュは生のドラムではなく、エレクトリックドラムなので、いろいろセットアップなどたいへんそうだが、彼は本当に曲をよく知ってる。黒人だけどロックの曲のレパートリーの多さには驚いてしまう。ということでこれが  Clockworkのメンバー紹介。

ギグが9時におわりそのあとみんなは別のホテルで演奏しているバンドを見に行くということだが私はこの時とばかりホテルに残ることにする。やはりいくら彼でも24時間ずっと一緒というのはつらいものがある。ということでみんなを見送ってさっさと部屋に帰り一仕事。採譜の仕事をした。夜中2時就寝。

3月9日
今日は前から見に行く予定だった映画THEPASSION OF THECHRISTを見に行った。私はどっちかといえば無宗教だけど、絶対に神(イエスキリストとか特定しないなにか高尚な存在)はいると信じているのでこの映画には参ってしまった。最初からグイグイ引き付けられてしまった。いろいろな歴史的な背景など詳しいことはよくわからないので、映画のあとチャッドを質問ぜめにしてなんとか的を得たというところか。イエス様が拷問をされているシーンでそばでみているマリア様が自分の息子を助けられなくてただ泣くばかり、というのには本当に参った。つい自分をマリア様に置き換えて、もし私の息子が目の前でこんな目にあったらどうしよう。それだけでもうワンワン泣いてしまった。ひとつ言えること、この映画のあとでは気楽に十字架のネックレスなど身につけることはできない、ということ。やっぱり十字架を身につけるなら心からイエス様を信じてないと、中途半端はだめだな。しみじみ思った。

映画のあとコーヒーを飲みながら延々とユダヤ人やキリスト教の話をして気が付いたら仕事の時間。ホテルに戻り、またまた演奏開始。3日目はだいたい1番バンドがノッテル時。疲れもとれそれなりに生活にリズムができた感じ。前のテーブルに今日結婚したばかりというカップルが座りアツアツムード。。。よくよく話を聞くと出会ったのは1か月前だそうだ。まあ3年つきあって結婚してもだめな時はだめだから、1か月の電撃結婚も、本人がよけりゃいいようなもんだが、それにしてもこのあとは冷めていくばかりじゃなければいいが。うーん、人生いろいろ。(そう言えば昔“島倉千代子”の曲でそういう曲があった。読者のみなさんで覚えてる人はきっとわたしと同世代ですね。)

仕事のあとチャッドに宣言する。「私テレビ嫌い!仕事したいのにテレビがついてたらできない!」といってモクモクと採譜の仕事をはじめた。彼は退屈そうに携帯電話についているゴルフのゲームをずっとしていた。わたしってやっぱりワガママ?

3月10日
今日が最終日。従業員食堂の食事も4日めになるとつらくて結局近くのレストランに行く。これは行ってみないと分からないのだが、従業員食堂の独特の匂いというのがあって食堂の50メートル先ぐらいからプーンと臭ってくる。これが4日目になると耐えられなくなるのだ。もう仕事のあと帰るのでお昼にはパッキングをした。最終日のギグ、みんななぜかしらソワソワしている感じ。仕事のあと運転しなくちゃいけないせいか、みんなイエガマイスターもあんまり飲んでない。ホテル内でなにかコンベンションをしているせいかお客さんはいっぱい。で、コンベンションでの売り物らしいピカピカ光るイヤリングをしたおばさんの一行がやってきた。このバンドが好きなせいかかなり盛り上がっている。そのうち一人のおばさんがそのピカピカイヤリングをキムにつけてあげたら、ほかのおばさんが今度はリーダーのゲリーのところへ来て(ゲリーは演奏中)、イヤリングを彼の耳につけて、あとはお察しください。6人全員でピカピカしていたのでした。男連中はとても迷惑そうだった。ということでなんとかおばさんたちも帰って行ってギグも終了。今回はショッピングにいったり映画を見に行ったり結構楽しめたなぁ。でもやっぱり早く家に帰りたい。。。。またまた3時間半の道のり帰ったのだった。

Norikoさんのサイトはこちら
JINAのインタビューはこちら
PCIのインタビューはこちら
The West Coast All-Stars のショーでのライブレポートはこちら
Noriko & Angelique at GIGでのライブレポートはこちら

投稿者 admin : 12:19