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2007年6月 3日

少林寺拳法マスター、倉本利夫さんの葬儀

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6月2日に、ロサンゼルス・ダウンタウンにある東本願寺で倉本さんの葬儀が行われ出席した。享年58歳だった。心臓発作で倒れられて、約50日間ご家族や友人などの懸命の看護で一時回復されたが、5月24日、力尽きて他界された。ショックだったが、素晴らしい方だったのでここで改めて紹介しておきたい。

葬儀では、気丈に振舞われる奥様と高校生のお嬢様のお2人にかける言葉も無かった。少林寺拳法のお弟子さん達の弔辞と、お嬢様の映像プレゼンテーションでは泪が止まらなかった。

少林寺拳法普及のために、アメリカで頑張っておられる倉本さんの生き様はロサンゼルスに住む多くの日本人に感銘を与えた。彼の強さ、優しさは、流派を超え、空手、柔道、剣道など他の格闘技の皆さんにも影響を与えたと聞く。最近ではアメリカで最も読まれる Black Belt(倉本さんの記事はこちら)に掲載されたり、LAPD(ロサンゼルス警察)で指導したりとアメリカ社会に認知され今後のご活躍を楽しみしていた。倉本さんが七段に昇格された時の祝賀会の様子はこちら


彼のハリウッドでの一番弟子は、ミュージシャンでもありマイケルジャクソンのアジアツアーを成功させた敏腕音楽プロモーター、マネージャーでもあるBlue Johnson(ブルー・ジョンソン)である。(Blueのインタビューはこちら
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倉本さんの所にはブルー・ジョンソンだけでなく多くのプロミュージシャンが出入りしていた。その中の一人、David Garfield(インタビューはこちら)とPhil Perry が作った曲、"Deep Within Each Man" は少林寺拳法のテーマ曲であったとは最近知った。2004年にリリースされた "I am the cat, .....man"というアルバムに入っている。(このアルバムからの数曲をこちらで聴ける)
"Deep Within Each Man" のレコーディングミュージシャンは下記の豪華メンバーであった。
Vocal: Phil Perry & Paulette Browne
Keyboard: David Garfield
Guitar: Steve Lukather(インタビューはこちら
Bass: Nathan East
Percussion: Lenny Castro
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この曲を聴きながら倉本さんの事を色々と思い出していたが、自分の夢を大きな声で語られ、それを58年でほとんど実現された方だった。東本願寺の導師が葬儀で言われていたが、仏教で言うところの、「完全燃焼」された方だそうだ。命の長さではなく、限られた命を完全燃焼するという生き方ができれば良いと思った。

葬儀では、日本人ではない、仏教徒ではない多くの列席者が、慣れない手つきで顔の前に手を合わせ、拝んで焼香をし泪を流し、東本願寺の導師の英語の話に感動していた。敬虔な仏教徒ではないが、一神教で同じ中近東発祥のキリスト教、ユダヤ教、イスラム教とは仏教は一線を画すと思う。現在のご時世、こういう東洋的な思想が改めて見直される時期の様な気がする。

倉本さんが生前お話された中で興味深かったのが、名プロドラマー、ビニー・カリウタがドラムのたたき過ぎで腱鞘炎になったのを直した時の話だった。少林寺拳法では相手を倒す技も教えるが相手を救う技もあると。LAPD(ロサンゼルス警察)に請われて倉本さんが指導を始めたのも、一方的に相手を殺傷する技術を教えるのではなく、日本の格闘技の背景にある東洋的な思想も教えると聞いた。そういう所に多くのミュージシャン達も魅かれるのであろう。

倉本さんのことは決して忘れない様にしたい。アニメWalking Tourをまた引っ張り出して見てまた泣く。

倉本さんの日本語インタビューはこちら

投稿者 admin : 2007年6月 3日 16:16