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Tim Pierce インタビュー(1/2)

週末も含めて毎日ほとんど休み無しの多忙なスタジオ・ギタリストのティム・ピアス(Tim Pierce)の家にお邪魔しました。 この人無しでは多くのロサンゼルスのレコーディングやセッションが滞ってしまうでしょう。 ここロサンゼルスでは本当に大事な人です。 改めて彼の職人ギタリストとしてのステータスを目の当たりにしました。 ティムの話を聞いているといつも固定観念や流行や偏見に捕らわれない音楽の本質を改めて考えさせられます。 11/14/2001

職人ティム・ピアスのライフワーク

PCI:毎日超多忙でなかなかお目にかかるのは難しいんですが、今日はお時間を取って頂き有り難うございました。 最近の活動状況などを教えていただけますか? 

Tim:最近は毎日レコーディングがあるんですよ。 今はGoo Goo Dollsのレコーディングをやっています。 1月には新しいアルバムが出る予定です。 彼等のレコーディングにはここ3〜4年ずっと参加しています。 

PCI:彼等のライブでも弾くんですか? 

Tim:いや、ライブはほとんど一緒にはやらないね。 ライブは好きなんだけど、旅行をするのが好きじゃないんです。 もちろんバケーションで旅行するのは好きなんだけど。(笑)でも、ミュージシャンとしてツアーが嫌いだなんて宣言すると、評判落ちちゃうかもしれないから気をつけて書いてね。(笑)

フィル・コリンズ(Phil Collins)と仕事をしている時、ロードマネージャーがツアーに出られるかどうか聞いてきたんだけど、ロサンゼルスで沢山の仕事があり過ぎるって断ってしまったんです。 

PCI:フィル・コリンズのような有名アーティストとツアーに行けば、あなたのキャリアにも箔が付くと思うのですが。 断るのがもったいないような気がするんですが如何でしょうか?

Tim:よくそう言われるんですが、ロサンゼルスを暫く離れるって事は、私にとって大変な事なんです。 私を必要としているアーティストやプロデューサーが沢山ロサンゼルスには居ます。 そして彼等が電話をすれば私がいつもロサンゼルスに居る。 そんな私とクライアントとの信頼関係、私のステイタスを崩したくないんです。 

PCI:なるほど、職人気質という感じですかね。 

Tim:それともう一つツアーがあまり好きじゃない理由は、リハーサルが終わったときにショーが終わったっていう感じになるんです。 リハーサルでやった事を何度もツアーの間中繰り返すだけなんです。 確かにショーとしては毎回それなりにお客さんの反応も違うので、刺激はありますが、ギタリストとしてはツアーではあまりクリエイティビティーを要求されないんです。 ところが、今私がここでやっているレコーディングやセッションの仕事は、毎日が異なるアーティストやプロデューサー、異る音楽で、いつもクリエイティブな発想とプレーが要求されるんです。 エキサイティングな毎日です。 

PCI:あなた程のスタジオプレーヤーになると、有名アーティストのツアーに付いて行って、箔を付けるなんて必要ありませんでしたね。 失礼しました。

Tim:それからツアーへ行くと、ステージには1〜2時間立ちますが、それ以外の時間はただ待っているか、移動しているかなんです。 これは私にとって大変退屈です。 ロサンゼルスでの毎日の仕事に責任みたいなものも感じているので、私がここで必要とされなくなったら、その時は思いきってのんびり長期ツアーに出るのもいいかもしれませんね。 

PCI:あなたらしいライフスタイルだと思います。 

Tim:どんな小さなセッションやレコーディングでも出かけて行き、現場でアーティストやエンジニアやプロデューサーと会い、毎回新しいものを創り、人とのコネクションも広げて行く、これが私のライフワークです。 だからただデモテープを創るだけのセッションだろうが、毎日ここで人と会って仕事をする事が大切なんです。 

PCI:そういう意味ではロサンゼルスはあなたにとっていい場所なんですね。

Tim:やはり音楽市場としてはここはほんとに巨大です。 もしかして音楽を創る市場としては世界一大きいんじゃないかと思います。 

PCI:そうかもしれませんね。 最近の仕事として他に印象に残っている仕事はなんでしょうか?

Tim:3週間程前に、Life Time というケーブルTVでライブをやりました。 毎年有名な女性アーティストが集まってコンサートをやり、その模様をレコーディングして販売し、収益を「乳癌」治療の研究のために寄付をするという企画です。 それから東京やロスのディズニーランドのショーやパレードやアトラクションで使われる音楽のレコーディングには結構参加してるんですよ。 それから今週は黒人歌手ラサーン・パターソン(Rahsaan Patterson)の3枚目のアルバムのレコーディングに参加しています。 大変素晴らしいR&Bシンガーです。 それから先週はニューエイジ・アーティストのサックスプレーヤー兼シンガーのウォーレン・ヒル(Warren Hill)のレコーディングをやりました。 彼も凄い才能の持ち主です。 フリートウッドマック(Fleetwood Mac)のスティービー・ニックス(Stevie Nicks)の新しいアルバムの仕事も楽しかったですね。今後ブレークするかもしれない大物新人としては、ラテンポップシンガー、シェキーラ(Shakira)のレコーディングにも参加したんで今後楽しみだね。 ソニーが力入れてますから2002年にはブレークするんじゃないかな。 それから、毎週金曜日の夜はCBSの「That's Life」というTV番組で弾いています。確か、午後9時放映だったと思いますけど。  それから、映画「パールハーバー」の主題歌は私がギターを弾いているんですよ。

PCI:本当に色んな所で活躍されているんですね。 以前インタビューした時にリサマリー・プレスリー(Lisa Marie Presley)のレコーディングもされてましたが、CDはもうリリースされたんでしょうか?

Tim:ちょっと遅れてますが、まだ全部終わってないんです。 大変いい物になると思いますので完成したら連絡します。 

PCI:色んな新しいアーティストと仕事をされていますが、最近の音楽ってギターのソロが少ないんですが、その辺のところはどうお考えですか? 

Tim:そうですね、ギターソロというものはファッショナブルではなくなりましたね。 90年初頭だったですかね、突然ノーグッドとなったのは。(笑)そろそろ10年経ちましたから、復活するかもしれませんよ。 ただ、今は私自身もギターソロにはあまり執着していません。 ティーンエイジャーの頃はギタリストにとっては、ギターソロが全てでしたけどね。(笑) 今は曲そのものとアレンジの中でのギターの活かし方の方に興味があります。 最近はギターやギタリストは昔の様にスターではなく、音楽の一部として聴くようになり、またプレーするようになってきました。 どれだけ素晴らしいギターの個人プレーを聴いても感動しなくなったんです。 それよりギターがいかに楽曲の中で活かされているかというアレンジの方に感動を覚えるようになってきました。 5才の頃に帰ったような気がします。 その頃私は歌が大好きだったんです。 大好きな歌を創るためには、どうやってギターを弾いたらいいかという事を今は大切にしています。