PCI USA

PCI - Prosound Communications Inc

menu

 

Paul Jackson Jr. インタビュー (2/2)

 

「デジタルとアナログ、そして新CDについて」

PCI:貴方のキャリアにおいて、特に重要な人物は誰でしたか?

Paul:色んな人達にサポートしてもらいましたが、3人上げるとすると、リー・リトナー、レイ・パーカーJr.、アル・マッケーですね。 彼らがいなければ今の私は無いでしょう。 ギタリストとしてだけでなく、人間として本当にお世話になりました。

PCI:別の読者からの質問ですが、今のデジタルレコーディングと昔のアナログしかなかったレコーディングとの良い部分、悪い部分についてどう思われますか? 

Paul:僕はデジタルが悪いとは思っていません。 確かにアナログのサウンドは良いですが、デジタルレコーディングでもアナログ機器は使えます。 デジタルレコーディングの良い所は、昔ではとても時間やお金がかかった自分のやりたいことが簡単に出来る様になったことです。 一方、デジタルレコーディングで嫌な所は、我々が音を決めるという作業と楽しみを奪ってしまう所です。 アナログレコーディングの場合、その場で音を決めるという意思決定をしなければなりませんでした。 もしギタリストがあるサウンドを作ったなら、その場で良いか悪いか判断して決断しなければならないのです。 デジタルでは何度もやり直しがきき、間違えれば直すことすら出来ます。 アナログではそういうことが出来ないので、その場で意思決定をしなければいけないという緊張感がありました。 もう一つデジタルで嫌いな所は、これは僕の個人的なフィーリングですが、皆をレイジーにしてしまうことです。 プレイヤーは一曲全て弾かなくてもいいんです。 ある部分だけ弾いてそれをパソコンでコピー&ペーストするだけ。 ドラムも基本リズムとフィルインを叩いて後はコピー&ペイスト。 シンガーも一曲全部歌う必要なくなったんです。 

PCI:その通りですね。 最近ではミュージシャンが自宅でプロトゥールに録音し、カット&ペイストをし、アーティストとデータをやり取りするというのが主な作業になってきましたね。 

Paul:確かに便利ですからね。 でも僕は今でも一曲全て自分で弾いた物をデータに落として送る様にしています。 一方デジタルのおかげで本当に安いコストで良いサウンドが作れる様になりましたね。 楽器屋へ行って800ドル程度の機材を買ってこれば、そこそこ良いサウンドの音楽が作れる様になったんです。 これはミュージシャンにとってたいへん画期的な素晴らしいことだと思います。 これはデジタル技術の素晴らしい所ですね。 

PCI:そういう時代の流れに対応するために、ミュージシャンとしても今までとは違うことをしなければいけないのでしょうか?

Paul:そうですね。 プロミュージシャンは過去の技術ややり方に安住していては生き残れないでしょう。 特に技術の進歩のスピードは早く、毎年どんどん変わっていきます。 のんびりしていられないんですよ。 新しい技術の勉強をし、新しい機器にはいつも敏感でなければいけません。 音楽も新しい物をどんどん聴いておかないとすぐ取り残されてしまいます。 特にレコーディングに関与するセッションプレイヤーは楽器が弾けるだけではもうダメです。コンピューターやデジタル機器についても勉強しなければなりません。 「このファイルを送るからギターを入れてe-mailしてくれ。」と言われて、「パソコン使えません。」ではもう次から仕事は来ないでしょう。 

PCI:音楽を勉強してギターが上手くなるだけじゃギタリストとして食べて行けないということですね。 厳しい時代になりましたね。

Paul:そうですね。 一方で100%アナログのエフェクトペダルのサウンドの良さとか、チューブアンプのサウンドの素晴らしさを忘れてはいけませんね。 

PCI:新しい技術の進歩や機器、音楽の情報をどうやって入手されてるんですか?

Paul:業界誌には目を通しますし、NAMMショーにもかならず行きますし、ウエッブサイトを頻繁にチェックし、出来るだけ多くのミュージシャンやギタリストと会って話をする様にしています。 たとえば先日ニューヨークで会ったマイケル・ワード。 たいへんユニークなサウンドを出しているので「どうやってるんだ?」と聞いた所、そこでRobotalkAC Booster, RC Boosterなどを発見しました。 今度改めてインタビューに来て下さい。 試奏レポートをやりましょう。

PCI:ありがとうございます。 それでは今度の新しいCDについてお聞きしたいのですが、5月に発売とのことですね。 

Paul:5月20日に発売予定で、タイトルは「Still Small Voice」です。

PCI:ミュージシャンはどんな人達が参加されてるんですか?

Paul:Gerald Albright、Harvey Mason、Jeff Lorber、Sheila E., Billy Preston, Abraham Laborielなど、その他にもたくさんのグレート・プレイヤーがサポートしてくれました。 

PCI:全て新しい曲ばかりですか?

Paul:2曲カバー・ソングがありますが後は全て新しい曲です。

PCI:特に今回のCDでの特徴はなんでしょうか?

Paul:このCDでは僕が初めて自分のリードギターのバックでリズムギターも弾いてるんですよ。 全ての曲で僕がリズムギターを弾いているんです。 

PCI:出来栄えはどうでしたか?

Paul:初めての試みでしたけど、なかなかいいコンビネーションですよ。(笑) 

PCI:楽しみですね。 CD製作時に何か面白いエピソードは?

Paul:タイトルソングの「Still Small Voice」は最初はレコーディングされるはずではなかった曲なんです。 レコーディングセッションの二日前に、これだけグレート・ミュージシャンが集まったんで、何かもっと曲を用意しなきゃと思い、セッションの二日前に作った曲を試しにやってみたらどういう訳かそれがタイトルソングになってしまったんです。 それから僕の息子と娘が参加しています。 娘はバックコーラスを歌い、息子は曲の紹介をしています。 

PCI:子供さん達はおいくつなんですか?

Paul:娘は15歳で息子は11歳です。

PCI:このCDではギター、アンプなど、どういった機材を使ったんですか?

Paul:全てのソロはGibson-347 Paul Jackson Jr.モデルを使いました。 

リズムギターはマイク・マクガイヤーが改造したカスタムメイドのレスポールを使いました。 

アンプはGibsonのゴールドトーンです。 エフェクターはあまり使ってませんが、マルチエフェクターGT-5を使ってます。 

PCI:日本人のミュージシャンとも仕事を多くされているとお聞きしましたが、今までどなたとされましたか?

Paul:ケイコ・マツイがまだアメリカに来る前よく仕事をしました。 それからカシオペアのアキラ・ジンボともよくやりました。 それからキミコ・カサイともよく仕事をしましたね。 ユーミンとももちろん。 最近は名前忘れましたが、ティーンエイジャーの女性ボーカリストのレコーディングにも参加しました。 大変上手いシンガーでした。 日本にもたくさんの素晴らしいミュージシャンがいますね。 日本は私にとって大事な国なんですよ。 

PCI:有り難うございます。 新CDのリリースと来日を楽しみにしています。

また素晴らしいギタリストと知り合うことができて大変嬉しく思いました。 敬虔なクリスチャンで現在の世情を憂い、「今度の日曜には教会でクワイアーと一緒にお祈りしましょう。」と誘われました。 新CDを入手しましたらPCIサイトで紹介させて頂きますのでお楽しみに!(3/10/2003)