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2009年9月11日

第37回 アマチュア精神に戻って

ちょっと月一になってしまったこのコラムですが、今回も少し雑談と近況を。

八月にサントラの仕事を終えて、とりあえずウェブのプログラミングの仕事にありつき、音楽は次に何をしようかと考えていましたが、ふとしたことから自分がやってて一番楽しいのはギターを抱えて新しい曲を創っているときだと気付きました。 すると、本物のラーメン食べたらインスタントが食べられなくなるように、なんだか他の活動に関する興味が本当に薄れてしまいました。

お金になるということは他の人に何か価値のあるものを提供するということです。少なくとも資本主義ではそうやって物事の価値を決めますね。 音楽で収入を得るということは、要するに価値のある音楽を提供するということ。 

で、それが自分の好きな音楽と他人から「価値ある」と認められて買ってもらえる音楽とが一致していたらそれが一番幸せだと思いますが、なかなかそうもいかないだろう、というのが一般な考え方ですよね。 自分が好きな音楽でも大衆には受け入れらないからお金にならないとか、好きなんだけどあんまりうまくないのでお金を出して聴いてもらうところまでいかないとか。

でもだからといって、自分でやっていて面白くない音楽をやって、それでどうなりますか? 幸せになれますか? 

「幸せ」というのもまたこれ曖昧なものですよね。 大して好きでない音楽でも、他の仕事をするよりまだマシならそれはそれでいいです。 でもやってて気持ちがげんなりしてくるようならやっぱり他のことをした方がいいと思うんです。

というのも、僕みたいに思い込みの強い人間には「音楽をやってて楽しい」からやってるんではなくて、「ミュージシャンである」ことに執着してしまうこともあるからです。

何年も前、音楽活動の試行錯誤の一環でコマーシャルに手を染めてみようと思ったことがありました。 で、ちょっとデモをつくって近辺のプロダクション会社に売り込んでみたんです。 もちろん最初は経験もコネもないですから全く仕事の話が来ない。 ので、くじけてしまうんです。 というか、「絶対にこれだけは死ぬまでにやらないと」という覚悟がないのであきらめてしまうんですね。 

そもそも僕も夢見る人間なので、コマーシャルの仕事がしたくて音楽始めたわけではないわけですから、「そうしたら音楽でお金儲けできるぞ」みたいな安易な考えで始めたのがまずかったわけです。 もちろんコマーシャルで食べている人たちが妥協しているとかそんなことを言ってるわけではないです。 ただ単に、僕の中ではコマーシャルという道は「ミュージシャンである」ことに固執していたから選択した道で、「やってて楽しいから」選択したわけではないわけです。 

生きていくためには誰もがお金の稼げる作業を何かしなくてはいけませんが、それが自分のやりたいことと一致しない時、妥協するにしてもどこで妥協するかと考えたとき、やっぱり最優先して考えるべきなのはどこで妥協するのが一番自分の幸せを損なわないか、という点ではないでしょうか。 貧乏してても好きなことやってれば幸せな人もいるし、逆に経済的に安定していなければ好きなことやってても満たされないという人もいますから、それは人それぞれですよね。

僕の場合は音楽のほかにプログラミングという技術を幸い身につけたので、やってて楽しくない音楽やるくらいならプログラマーとして糧を稼いだ方がマシ、という結論に達したわけです。 前から気の合わない人たちとは仕事しないことにしていたんですが、ここにきて自分の音楽にやっぱり帰りたいという願望が強いことに気付き、少し後戻りしてアマチュア精神で自分の好きな曲を書いて発表する活動に戻ろうかと考えています。 他の仕事の比率が大きくなるので音楽やる時間は少ないですけど、でも少しずつでも曲を書き溜めていけばある時それを基にヒョッと予想だにしなかった扉が開くかもしれない。 最近はそんな風に考えるようになりました。 まだ具体的には何もしてないんですけど。

やっぱり一回しかない人生ですし、お金は無駄にしてもまた稼げばいいんですけど、時間は戻ってこないですからね。 できるだけ好きなことに費やす時間を増やしたい。 そうするには効率のいい体制をつくりたい。 そんなことを最近考えています。 楽しいことやってる人間ってやっぱり強いですしね。 幸せな人は幸せな友達も増えやすいですし、やっぱり幸せになるにはまず自分で自分の人生を変えていくことが第一歩だな、とか考えています。

とはいっても映画作曲とかプロデュースとか他の人のための音楽も創らないといってるわけではないです。 ただ向こうしばらくそれをあまり追求しないで、何か話が舞い込んできたら考えますが、プログラミングしながら自分の音楽がしたいな、と思っている。 それだけです。 所帯持ちですしアーティストとしての活動はほとんどできないんですけど、それでもまあオンラインで少し何かするアイデアはありますし、とにかくやってて一番楽しいことのための時間をもうちょっとつくろうと思っています。

ではまた次回。

投稿者 ari : 13:48