PCI USA

PCI - Prosound Communications Inc

menu

 

Tim Pierce インタビュー(2/2)

職人ティム・ピアスお気に入りの機材

PCI:ミュージシャンとしての音楽の原点を聞いたような気がします。 そんな歌を大切にするギタリストがどんなギターとアンプを使っているのか聞かせて下さい。 Dr. Z Ampを大変気に入っているとのことですが?

Tim:はい、このDr.Zアンプ、Mazeratiはいつも使っています。大変スイートにディストーションされるんですよ。 ビンテージVox AC30を少し思い出させます。 でもMazeratiのほうが、オーバードライブがより多くスムーズにかかります。 ただトーンのキャラクターがVoxに若干似ていると思います。 Mazeratiのオーバードライブはスイートで本当にクリーミーなんです。 

PCI:今まであなたが使われたアンプと比較して如何ですか?

Tim:私はNaylorのアンプも持っていて、気持ちのいいディストーションが得られるんですが、Mazeratiはもっと繊細でスイートなディストーションなんです。 そして一番気に入っているのは、ツマミがVolumeとToneの2つしかないところです。 この点は、ほとんどのギタリストが賛同するはずです。 良いアンプというものは、アンプそのものからすぐいい音が出なきゃだめです。沢山のツマミをいじくり回して音を作らなきゃいけないアンプは、決して良いアンプとは言えないと思います。 

PCI:使用されているギターとの相性は如何ですか? 

Tim: Mazerati はハンバッキング・ピックアップに大変相性がいいです。 レスポールで弾いた時、本当にびっくりする程いい音が出るんです。 ストラトでも勿論いい音出ますが。 サウンドは大変グラッシーで透明なんです。 そして同時にスムーズでリッチでクリーミーなディストーションがかかるんです。 Vox AC30の、よりブライトで透明度のあるバージョンと言えます。 ただ、ディストーションはもっとスイートになっています。 Naylorと比較した場合は、Naylorのディストーションをもっとリッチにしたバージョンと言えるでしょう。 ただサウンドはNaylorよりもっとフレンドリーです。 ちょっと言葉では表現が大変難しいんですけどサウンドを聴けばその違いは判るでしょう。 

PCI:ハンバッキングの相性がいいと言うのは、ディストーションに対してですね?

Tim:そうです。シングルコイル・ピックアップの相性は、Mazeratiの基本的なサウンドであるグラッシーな透明度のあるサウンドにマッチしますね。クリーンかハーフ・ディストーションでシングルコイルピックアップを使い、フル・ディストーションでハンバッキング・ピックアップを使うといいですね。

PCI:それでは、レコーディングには今や必ずMazeratiを使用されているんですね?

Tim: ええ必ず持って行きます。 サウンドだけでなく外観もカッコイイですし、小さくて持ち運びも便利なんで。 いつもスタジオの他のミュージシャンも気に入ってくれますよ。

PCI:ギターは最近はDon Groshをメインで使ってみえるとのことですが?

Tim:はい。 Don Groshを3本持ってますが、私にとっては大変重要なギターです。 特にそのうちの1本のストラトタイプは、私が今までに触った全てのギターの中でトーンとしては最高の物です。 グレイのやつです。 他の2本、シルバーとゴールドも気に入ってますが、特にこのグレイのストラトタイプは素晴らしいのでメインに使っています。 

PCI:それ以外にもビンテージギターをたくさん使ってみえますよね?

Tim:仕事がら、クライアントの要望もあるのでビンテージスタイルのギターは色々使わなくてはいけません。 Fenderと名前の入ったストラトキャスターやテレキャスターも使わなければならないですし、Gibsonという名前の入ったレスポールも使わなければならないんです。 やはり、まだ多くの人達がサウンドではなくてギターの善し悪しをブランドで決めますからね。 ただ私にとっては最も音が良くてチューニングが狂いにくく、最もプレイアビリティーの良いギターはどれかと聞かれたら、Don Groshですね。 前にも言ったかもしれませんが、Don Groshのギターは、このネックに秘密があると思います。 他のどのブランドのギターと比較しても、厚みのあるサスティーンのかかった本来のギターのあるべき音が出てくるんです。 このネックがその役割を果たしているように思います。 

PCI:先日Don Groshの新しい工房を取材しましたが確かにネックについては木材の選定から特別なトラスロッドの使用など大変気を使っているようでした。

Tim:やっぱりね。 近いうちに工房へ行ってもう2本カスタムギターを作ってもらいたいと思っています。 

PCI:前はトム・アンダーソンのギターをメインで使ってみえましたよね? 

Tim:ええ、ずっとトムのギターがメインでした。 彼とは友達ですし、彼のギターも好きですよ。

PCI:トム・アンダーソンとDon Groshの違いはどこにあると思いますか? トムはピックアップも自分で作ってみえますよね? 

Tim:トムのギターはよりブライトで、軽いアプローチですよね。 スムーズでレコーディング用には大変使い易い良いギターです。 それに比較してDon Groshは、ヘビーで分厚いサウンドでのアプローチですね。 それとネックの違い、フロイド・ローズによる違いもありますね。 

ロボトークもTimの標準装備のお気に入りペダル。

PCI:なるほど。 さて今回のGoo Goo Dollsのレコーディングをする場所ですが、House of Bluesのオーナーの一人が持っているスタジオで、エンシノの山の上の本当にきれいな場所ですね。 名前もHouse of Blues Studioと言うんですね。

Tim:スタジオというより本当にくつろげる山の家っていう感じですね。 ここでならアーティストはみんなリラックスしていい仕事ができるんじゃないかな。 

PCI:そうですね。 本当に良い場所と環境です。 アーティストやプロデューサーにとっては、レコーディング機材より重要なことかもしれませんね。 有り難うございました。