日本の印象と機材についての考え方
Toshi: じゃあ日本のことを話そうよ。 日本でインタビューをしたことはある?
Dale: 前に行った時に少しあると思う。 インタビューをしたのは覚えているよ。
Buzz: あまり良く覚えてないな。 載ったインタビューが送られてきたことはないよ。 何らかの形で出たと思うけどね。
Toshi: じゃあ今回のインタビューは日本のファンにとっては久々の貴重なものだね。日本に行く予定はある?
Dale: 今のところ予定はないけど是非行きたいね。
Buzz: 実現するといいんだけどね。どうにかして。日本で演ったショーは大きくはなかったんだけど良かった。 プロモーターからは「また来てください。」って言われたけどね。(笑) 機会があったら絶対行くよ。 日本は今まで行った中で一番不思議な場所だと思うけど大好きだ。
Toshi: 日本のどこが好き? 日本の物を集めてるよね? ケビンは日本のおもちゃが大好きだし。 君たちもだろ?
Buzz: もちろん。
Dale: 東京はここと全く別世界。不思議な国のアリスになったような感じだった。
Buzz: 東京はニューヨークのタイムズクエアみたいだ。 でもタイムズクエアは数ブロックだけ。 東京はタイムズクエアを持っていって街を全部あそこみたいにしちゃった感じ。 すごい大きくて派手だよね。
Dale: 日本食はとても美味い。 寿司も全部。そして日本の観客がとても好きなんだ。
Buzz: 日本の観客は15年前のドイツの観客を少し思い出させるんだ。 今のドイツのファンはみんな行儀悪いよ。 酔っ払いのアメリカ人や他の国の人に比べて、日本人はよく僕らのサウンドを聴いてくれているのが分かるよ。 目の前で起こっている事に対しての集中力がある。 ドイツも初めはそうだったんだ。 でも今は違う。 前はドイツでプレイするが楽しみだったが、もうそうじゃなくなったんだ。
PCI: ドイツもアメリカナイズされているんでしょうか?
Buzz: そうかもね。ドイツは他とは違っていたけど、今は他の国から悪い影響を受けてしまったようだ。 ミュンヘン出身のヒップホップほど趣味の悪いものはないね。よく分からないよ。 日本で
Fantomasというバンドでプレイしたことがある。 Fantomasは途中にブレイクがあって静かになるんだけど、日本以外の国はそこでみんな狂ったように叫んだりする。 でも日本人はみんな静かに聴き入ってるんだ。 いい感じだよ。 他の所とは違う。 日本ではみんな俺達に注目して聴いていてくれるんだ。 俺の経験の限りではね。
PCI: 日本でライブをするのが楽しみですね。 ジャズとかブルースなど他のタイプのバンドの人からも同じ様なことを聞きます。 日本の観客は他の国とちょっと違うって。
Dale: 僕もそう思ったよ。 他に日本でプレイした人で、日本人はあまり乗ってくれないっていう人もいたけど、静かっていうことは本当に全部聴きたいって思ってくれているからだよ。 隣の人と話をする代わりにね。 僕はとても良いと思った。
Buzz: 日本はまるで半分孤立して発達したようだよね。 ヨーロッパは隣国との距離が短いから色々なカルチャーを一緒に吸収していると思う。 アメリカもそうだよね。 日本はどこに行くんでも飛行機で飛ばなきゃならない。 日本ではカルチャーの取り入れ方が他とは違うと思う。 日本人のアメリカンロカビリーを見てもユニークだよね。 とても良いよ。 最近ジョン・フォードの映画に凝っているんだ。 ジョン・フォードは日本のサムライの映画にとても影響を受けているんだ。前は知らなかったけど。 彼の映画がとても好きなんで自分が日本が好きな訳がわかったよ。
PCI: ギターを弾き始めた時にとても影響を受けたギターリストは誰ですか?
Buzz:うーん。 みんなと同じような人が好きだったね。 ジミ・ヘンドリックスとか。 バンドとしては、もしひとつ選ぶんだったらZZ
Topかな。 でもああいう風に弾けるようには練習はしないけどね。 頭の中ではするけど。(笑)
PCI: 最近弾くギターは?
Buzz: レス・ポールが多い。 でもいろんなギターを弾くよ。 色々あり過ぎてどれだか覚えてない。スタジオとライブとではかなり違ってくる。 もうまったく別々のものと思ったほうが良いと思う。 スタジオではライブの様にプレイしようとは思わない。 たまに、「ライブのようにしてくれ。」って言われるんだけど、「じゃあここでライブしようよ。」って言うね。 クラブで演ってるんじゃないんだから。
PCI: ギターアンプは? お気に入りとかありますか?
Buzz: Sunnをよく使うが特にこれとは決めてない。 何でもだよ。 どんなアンプでも。 アンプを一切使わないで録音したレコードもあるよ。 レコード全部、直接ヴォーカルで演ったんだ。 ポッドもなしでギターからボードに直接。 何でも良いんだ。 色々なやり方を考えていたら本当にきりがないんだけどね。レコーディングには、あまり機材を多く持っていかないで周りにあるものを使うようにしてる。 過去に縛られちゃうからね。 アンプはこれ、ギターはこれって、こうじゃなきゃいけないっていうのはいやだから。 「何か今までしたことのないことをしよう。」っていう方が、前と同じサウンドになるより良い。
PCI: あなたにとっては、機材よりサウンドエンジニアの方が大切だと思いますか?
Buzz: うん。
PCI: そういう意味では、トシはとても重要だったんじゃないですか?
Buzz: スタジオでは、そこにあるものを使ってレコードを作る。 それだけのこと。 2トラックでレコードを作ることも出来るし、カセットデッキでもそれしかないんだったらいい。 よく、「あのスタジオは良くない。 16トラックもプロトゥールもないから。あそこではレコーディングできないよ。」って言う人がいるのは可笑しいよ。 出来ないのは、そこから良いもの作るイマジネーションが無いから。 良いレコーディングってそもそも何? もし、あなたが思う良いレコーディングが、車のエンジンにマイクを付けて、それをボードに繋げてコンプレッサーを通すというものだったら、誰がそれは良いレコーディングではないと言える? 分からないけど、そういうものだと思う。 これは良い、これは悪いって決めちゃったら、自分の可能性を妨げているだけだと思う。 それじゃなくても、これはだめ、あれはだめっていうリストがもうあるんだから。 そんなもんじゃないかな?
Toshi: 沢山の素晴らしい曲が4トラックでレコーディングされているよ。
Buzz: クイーンのようなバンドをマイクひとつの前に立たせもかなり良いものが出来ると思う。 彼らは本当にすごいんだ。 機材なんて関係ないよ。 そこにある才能であって、プロデューサーのおかげじゃない。 プロデューサーがやることなんて、それをどうにかして起こすだけのこと。 ティーンのアイドルとかだったら話は変わってくるけどね。 だったらロボットの方が簡単でしょ。
Toshi: じゃあ、僕は何にも価値がないって言ってるの?
Buzz: その通り。(笑)クイーンとかのバンドになるとプロデューサーは音楽自体に影響はないよ。 バンドをそのままレコーディングするだけ。 でもティーンアイドルとかだったらプロデューサーが全部。 バンドは関係ないというか、バンドなんてないね。 でも、クイーンや我々のようなバンドはこういう音楽が作りたいっていうアイディアがある。 アイディアがもしなかったとしても我々が音作りに関わっているのは確か。
PCI: 日本ではそういうロボットのような音楽が音楽界を占領していますよ。
Buzz: でも、日本のは可愛いよね。許す!(笑)
PCI: 本日はお忙しい中有り難うございました。明日から全米ツアーとのことですが、成功お祈りします。
(8月25日)
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