Bob Bradshawインタビュー (3/3)
新しい製品と新しいビジネス PCI:その他の製品で、Fredy FuzzやBlack Cat VibeなどはBlack Catの製品に手を加えているということですが、具体的にはどういったことをされているのですか? Bob:これらの製品はテキサスのBlack Catのフレッド・ボンテと協力して製品化しました。Fredy Fuzzについてはフレッドの持っていた回路を箱に入れ製品化しました。 もうこれは作っていませんが、今はBlack Catが自分で製造販売しています。 Black Cat Vibeについてですが、これも彼がユニバイブの回路を設計していて、サウンド的には他のどの製品より良かったので、アウトプットバッファーを加えたり、リモートコントロールスイッチを加えたりして、1/2ラックタイプで製品化しました。マイケル・ランドー、スティーブ・ルカサー、スコット・ヘンダーソンなど多くのミュージシャンが使っています。これも今はBlack Catが自分で製造販売しています。 PCI:Black Catのフレッド・ボンテとはどの様に知り合ったんですか? Bob:実際彼とは会ったことは無いんですよ。 全て電話で彼とは意気投合したんです。(笑) PCI:そう言えばジョン・サーとも電話で友達になったんでしたね。 日本のユーザーや楽器屋の店員さんのお話によると、Fredy FuzzはCustom Audio Japanによって作られたとのことですが? Bob:そうです。 PCI:アメリカで作られた製品と比較すると随分音が違うという話をよく聞くんですがどう思われますか? Bob:そんなに違わないはずなんですが? 回路はどちらも同じなんです。 違う個所はOP AMPだけのはずなんです。 よく判りません。 PCI:Baked Potatoなどでライブをやるギタリストであなたのシステムを使っている人たちを見ると、CAE Power Supply、4 X 4、Black Cat Vibe、Super Torem、これにいくつかのコンパクトペダルを組合わせるのが主流のようですが、これ以外にハーフラックやラックものでオリジナル製品はどういったものがありますか? また今後開発する予定の製品はありますか? Bob:あまりエフェクターやインター・フェイス関係のオリジナルの製品を作ろうとは思っていません。 それよりもカスタム・システム全体の構築の方に興味あります。 Black Cat VibeやFredy Fuzzを作った時は良い物を見つけたという事で製品化しました。 また、いつもこんな製品があったらとアイディアが出ることはありますが、僕がここにいる理由はカスタマイズされた特注のシステムをプロミュージシャンに提供することだと思っています。 そしてそんな仕事をやっている中で、こんな製品があれば多くのミュージシャンが恩恵を受けるという物が見つかったらまた製品化するかもしれませんが。 ただ、僕の会社は量産品を作るメーカーでは無いんです。 一人一人のミュージシャンの抱える問題を解決するというのが僕のメインの仕事なんです。 少量の製品はここでも作りますが、ディーラーもあまり持たず、エンドユーザーに近いところで商売をしていきたいと思っています。 PCI:OD-100や3プラスが日本で手に入らないという声をよく聞くんですが、製造中止になった訳では無いのですね? Bob:色々な理由で生産が遅れてはいますが、廃盤になった訳ではありません。 日本でも今年からは手に入るはずです。 特に3プラスについては。 新製品のスイッチングユニットも日本で手に入るはずです。 Made in JapanでCustom Audio Japan製造です。 PCI:そうですか、楽しみです。 他に読者からの質問ですが、ラックを組む時に使用されるケーブルは特に何か決めていますか? Bob:モガミのケーブル#2524をメインで必ず使う様にしています。柔軟性に富み、サウンドもいいので。 ラップシールドなので端末処理が簡単なんです。 それから確か#2219だったと思いますが細いのも使います。 PCI:今この場所では何人で仕事をしてみえるんですか? Bob:マーティン(Martin Golub)というメインアシスタントと、ショーンというオフィスのスタッフの計3人です。 ボブの片腕Martin Golub Photo by Taro Yoshida (Copyright 2002 Taro Yoshida) PCI:ここ数年ラックものに替わってコンパクトペダルがものすごい人気でブティックメーカーもかなり増えていますが、今後どのようにシーンが変わっていくと思われますか? Bob:そういうトレンドはしばらく続くかもしれませんが、僕が20年前に作ったシステムは今でも有効です。 80年代にはラック全盛の時代がありましたね。 でもラックが使われようがコンパクトペダルが多く使われようが、僕にとってはどちらでもいいのです。 どんな機材が主流になろうが信号をスイッチするシステムはいつも必要になると思うので、その部分で僕の出る幕があるでしょう。 ミュージシャンごとに作りたいサウンドに応じて機材の組合わせが異る訳ですから。 PCI:なるほど。 ここは結局多くのミュージシャンの駆込み寺的存在になるんでしょうね。 先日マイケル・ランドーにインタビューした際、あなたが趣味でライブレコーディングに凝っているという様なことを言ってました。 Bob:そうですか。(笑) でも今や趣味の域を越えてきました。マイケル・ランドーのライブについてはもう17年間録り続けています。17年前はマイクロフォン1個とSONY の WALKMANだけで録音開始したんですよ。(笑) それからどんどんレコーディング機材が進化して、今ではマイクプリアンプなどもラックに組み込み、機材フル装備でライブをレコーディングします。 PCI:全てお一人でやられるそうですね? CDとかをご自分で出す予定もあるのでしょうか? Bob:そう。全部一人でやります。 そして自分の趣味のためだけにレコーディングするだけでなく、ミュージシャンへのサービスも始めたんです。 これはBaked Potatoに貼ってある宣伝です。CDにデータを落としてミュージシャンに渡すまでをサービスでやるんです。 自分でCDを出す訳ではないのですが、最近趣味からビジネスにもなってきました。 PCI:そちらのビジネスもおもしろそうですね。 さて、日本はルカサーファンやランドーファンを始め、あなたの製品を使用しているギタリストのファンがもっとも多い国だと思いますが、アメリカやヨーロッパの状況を教えて下さい。 Bob:日本はいつも私に取って最も重要な国です。 前にも言いました様に大きなディストリビューターやディーラーを積極的に探さなかったので、そしていつもユーザーと一緒に仕事をしてきたので、ある特定の国や地域に大量に製品を出荷するということは無いんです。 世界中のユーザーから話があれば一緒に仕事をしたいと思っています。 PCI:最近気になるミュージシャンを教えて下さい。 Bob:Derek Trucks Bandです。 21才と若いブルースギタリストですが、今Allman Brothers Bandでプレイしています。 彼のスライドギターは驚くほどいいですよ。 まだCDは出していないけど結構ライブでは活躍しているのでロサンゼルスに来たら観るといいですよ。 PCI:有り難うございます。 是非マークしておきます。 さて、スティーブ・ルカサーやマイケル・ランドーのことはお聞きしましたが、スコット・ヘンダーソンをインタビューした際、彼もあなたのことを言ってました。 スコットとのエピソードは何かありますか? Bob:スコットも驚くべきギタリストですね。 彼の耳は犬の様に研ぎ澄まされているんです。 私や普通の人間には決して判らない音の違いを聞き分けるんですよ。 私が作ったもので、これとこれは音が違うってよく指摘されました。 でも彼は本当に良い人で僕の仕事を批判している訳では無いんです。 僕も自分の耳では判らなくても、彼の耳でその微妙な音の違いを聞き分けるというかフィールで感じるというか、そういう能力を知っているので疑うことはしませんでした。 彼の言う通り、必要な修正や調整を彼のアドバイスを貰いながらやってきました。彼はステージに立つ位置やケーブルの長さを5フィート長くするか短くするかによって変わる音の違いにさえ大変敏感でした。 彼と一緒にやった仕事は本当に勉強になりました。 PCI:スコットには彼のスタジオでDr.Z Ampの試奏比較をして頂きましたが、その時に微妙な各アンプの特性を瞬時に説明されたので驚きました。 彼の耳は常人とは違う様です。 Bob:そうですね。 そういう意味ではマイケル・ランドーの耳も凄いですよ。それから彼はGood Engineerでもありますしね。 PCI:今度のStolen Fishのレコーディングは全てマイケルが彼の家でやるそうですね。 Bob:そうです。 プロデュース、エンジニア共に彼がやるんです。 最近はエンジニアの部分では僕がマイケルに教えてもらっているんです。 マイケルも一緒にやっているBlue Hornっていうバンドのジェフ・ヤングっていうヴォーカリストは知ってますか? PCI:はい先日マイケルにCDを頂きました。 なかなかいいアルバムでした。 Bob:そのジェフ・ヤングの新しいレコーディングのエンジニアは実は僕がやるんです。 ドラムはトス・パノスで、ギターはマイケルにやってもらおうと思っています。 マイケルとはもう20年の付き合いですが、こういう形で私がエンジニアで、ギタリストとしての彼と仕事をするのは始めてなので今から楽しみですよ。 PCI:それは本当に楽しみです。 CDができたら教えて下さい。今日は長い間本当に有り難うございました。 Photo by Taro Yoshida (Copyright
2002 Taro Yoshida) |
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