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Bill Asher インタビュー (2/3)

「"Guitar Tradition"の店を閉めた理由とアレキサンダー・ダンブルとの出会い」

PCI: リック・ターナーのショプで多くのミュージシャン達に出会い、その後、Guitar Traditionでは3名の有名な技術者と共に沢山のリペアを手がけるようになった訳ですね。
Bill: その通りだ。地元、おそらく南カルフォルニア内で一番を争う3人のリペア技術者を集めることができた。その中でも長年一緒に仕事をした技術者は、ボビー・カルロス(Bobby Carlos)で、ここ数年はトム・ペティー(Tom Petty)やイーグルス(Eagles)のギターテクとしてツアーに出ている。彼はサンディエゴでギターの仕事を始め、25年近い楽器リペアの経験を持っていた。他にも素晴らしいギターテクで、現在はカルロス・サンタナ(Carlos Santana)とツアーに出ているサミー・サンチェス(Sammy Sanchez)がいた。彼とは、ハリウッドにある有名な楽器店、Nadines Musicで初めて会ったが、その時既に20年近いギター・リペアの経験を持っていた。彼もGuitar Traditionで僕と共に仕事を始めた。そして、シアトルから僕の見習いとしてロサンゼルスに出て来たばかりのフランキー・モントロ(Frankie Montoro)がいた。この4人で、ロサンゼルスでメインとなるショップを持っていたわけだ。一月で150本近いギターのリペアと修復を手がけ、僕はよりユニークな物を求めるクライアントの為に、一年に手一杯のカスタム製作を手がけた。僕達は素晴らしいショップを持っていたが、この3人のギターテクは更に技術を磨き、金銭面でも、ビッグなバンドとツアーにでる事は 断れない事になった。そして彼らが辞めた後、リペア・ビジネスの小売店を持続させるのは難しくなり、僕はGuitar Traditionを閉め、カルバーシティーに家を買った。

PCI: それは3年程前の事ですか?
Bill: そうだ。3年程前にプライベート・ショップをセットアップして、より多くの楽器の製造と、自分のギターのデザインに集中できるようになった。

PCI: それでも未だリペアの仕事はしているということですね?
Bill: そう。僕が特に好きなプロのクライアントや、地元のミュージシャンのリペアと修復は引き続きいくつか引き受けている。

PCI: 例えばどのようなミュージシャンですか?
Bill: 僕を一番忙しくしてくれて、自分のギターに情熱を持っているのはジャクソン・ブラウンだと思う。実際、この数年彼はアコースティック・ツアーをやっている。ツアーには15本以上のアコースティック・ギターを持って行っているが、どれもセットアップされていて、そのそれぞれの楽器のトーンが、異なる曲のインスピレーションになっている。基本点に一曲一曲、その曲に合った音を持つギターを演奏し分けている。だから彼のギター・ワークは沢山手がけている。フリートウッド・マックがツアーに出ている時はリンジー・バッキンガムも僕を忙しくしてくれる。彼はツアーに出て一ヶ月程でフレットをすり減らすんだ。それとRed Hot Chili Peppersのジョン・フルシアンテなどがクライアントにいる。

PCI: アレキサンダー・ダンブル(Alexander Dumble)の為にリペアをしたという話しを聞いていますが?
Bill: アレキサンダー・ダンブルはジャクソン・ブラウンを通して知り合った。彼のショップを訪ね、一緒にギターを弾いたりして時間を過ごした。彼は僕のラップスティール、そのトーンと製作の技巧に非常に興味を持ってくれていた。彼は僕の持っていた60年代のBlack Face Fender Bandmaster を素晴らしいアンプだと感じていて、改造したがっていた。彼は非常に秘密の、彼自身のアンプに組み込む、独自のトーン・サーキットを造る。アレキサンダーと知り合い、 彼が製作するアンプ、取り扱っているアンプ一つ一つに対して、自分の物であるように、独自の方法で取り組んでいるのを見る事が出来た。彼は、非常に人気のあるOverdrive Specialの様な特定のデザイン、モデルのアンプを製作しているが、一つ一つのアンプの配線とEQを自分で全てやるんだ。彼はトーンに対して、信じられないほどの素晴らしい耳を持っている。僕達は非常に意気投合した。彼は僕の仕事を気に入ってくれ、それで彼の古いギブソン335のリフレットを依頼されたんだ。

PCI: なるほど。
Bill: 彼は、いままでこれほど良いフレットの出来は無かった、そのギターを毎日弾いて、作曲をしているとファックスとEmailでの手紙を送ってくれた。彼の持っていた古いフェンダーのベースもリフレットをした。

PCI: 実際にアンプを調達して、ダンブル氏のショップで改造をしたりしていたのですか?
Bill: そう。僕がショップを持っていた頃は、彼が改造したいと興味を持っているヴィンテージのアンプを買い取って来て欲しいと頼まれていた。主にBandmasterだった。しかし、彼は僕に顧客のアンプの改造をするとは宣伝して欲しくなかったんだ。彼はユニークで、プレッシャー無く、ゆっくり仕事に取りかかる事を大切している。彼は顧客にせっつかれのが嫌なんだ。

PCI: そうですか。
Bill: 彼はクリエイティブに、特定のアンプのトーンの改良をやりたがったんだ。彼からアンプが僕のショップに戻って来ると、一瞬にして売れたよ。

PCI: なるほど。まだダンブル氏とは一緒に仕事をしているのですか?
Bill: そう。彼とは時々話しをしている。今はカルロス・サンタナのアンプのデザインに取りかかっていたと思う。

PCI: 今ですか?
Bill: そうだ。今はその種の仕事で忙しくしているはずだ。確かアレキサンダーからはもう一つBandmasterが来年中には戻ってくるはずだ。(笑)