Melvin Lee Davisインタビュー (4/4)
Melvin:私もそう思いますが、最近ノリコが忙しいので私の頼んだ仕事を全部引き受けてくれるかどうか。 (笑) PCI:日本へは今まで何度行ってますか? Melvin:何度も行きましたよ。 最初は確か1989年だったと思います。 チャカ・カーンと行きました。 リー・リトナーかチャカ・カーンと毎年2回は日本に行っています。 PCI:日本食、寿司は好きですか? Melvin:日本食は大好きですけど、寿司とか高い食べ物じゃなくて安いのが好きなんです。 ラーメンとギョーザが大好物なんです。(笑) PCI:庶民的な食べ物が好きなんですね。 最近は日本の業界紙などでもあなたのベースの記事が紹介されている様ですけど、トラディッショナルな4弦ベースではなく多弦タイプを好んで使用されているのはなぜですか? Melvin:ベーシストとしての守備範囲、アイディアを広げたいだけです。 私はベーシストとしてプレイするわけですから、バンドの中では文字通りベース、音の基盤を担当しているんです。 色んな種類の音楽のベースを担当するミュージシャンとしては、広い音域レンジとアイディアを持っておきたいんです。 お金が許せば7弦だけでなく12弦ベースも挑戦したい所です。 バンドで一緒にプレイするミュージシャンも多様です。 サックスプレイヤー、キーボードプレイヤー、ギタリスト、それぞれの個性、サウンドに応じて4弦ベースではカバー出来ないアイディア、音域の広さを持っておきたいんです。 PCI:7弦ベースはいつから弾かれてるんですか? Melvin:7弦ベースは1994年から持ってます。 Ken Smithがカスタムメイドの7弦ベースを作ってくれたんです。 PCI:あなたがデザインされたんですか? Melvin:はい。 基本デザインをKen Smithにファックスして設計してもらったんです。 そこにある7弦ベースは最初のプロトタイプです。 私のベイビーです。 30フレットです。その後量産品になった物は24フレットです。 PCI:ベーシストとしてはアンソニー・ジャクソンを尊敬されているそうですがプレイ面でも大きな影響を受けていますか? Melvin:はい。 彼は何度も言う様ですが私のヒーローです。日本では随分評価されているそうですね。 アメリカでも人気はあるんでが、私から見ると彼はもっと評価されるべきなのに彼の本当の凄さは知られていない様な気がするんです。 アンソニーは世界一完成されたクリエイティブなベーシストだと思います。 PCI:様々な音楽の境界がなくなっている現在の音楽産業の中でベーシストの役割はこれからどの様に変わっていくと思われますか? ベースとドラムのリズム陣が作り上げるリズムの上に他の楽器やヴォーカルが乗っかるというトラディッショナルなパターンがなくなるとは思いませんが、これから新しい劇的な変化が起こる可能性はあるでしょうか? Melvin:特に劇的な変化はないように思います。 ジャコ・パストリアス以来ベーシストとしての役割の劇的な変化は起こっていませんね。 ジャコはベースのテクニックだけでなくグループの中でのベーシストのあり方まで変えてしまいました。 一方スタンリー・クラークはソロを弾いてもグループのメンバーとしてのベーシストでした。 ジャコの場合はベースだけを聴かせる様なソロでした。 そういう意味ではそれまでの音楽とまったく違う劇的な変化だったと言えるでしょう。 ベーシストにもギタリストと同じ様なレベルでスポットライトを当てさせた、という意味でジャコの功績は大きいと思います。 PCI:スタンリー・クラークについてはどう思いますか? スタンリーこそがベーシストにスポットライトを当てたキーパーソンだったと言う人がいます。 Melvin:確かにスタンリーはジャコとは違うアプローチをしました。ただスタンリーは新しいことをやりましたが、あくまでもそれまでのベーシストの範疇として画期的なことをやったのです。 それは大変すばらしいことで私も評価をしています。ただジャコの場合はそれまでのベーシストの概念をまったく変える程の大きな変化をもたらしたんです。 ジャコはテクニックだけでなくメロディー、ハーモニー、ベーシストのコンセプト、全てを根底から変えてしまったんです。 例えばビーバップをやっても、それまでサックスプレイヤーがやってたことをジャコはベースでやってしまいました。 その後、音楽はデジタル技術の発達によってデータを電話回線で送ってミックスして送り返したりMP3で世界中の人に配信したり簡単に音楽を作れる様になり、また多くの人に距離に関係なく音楽を届けられる様になりました。 でも今こそベーシストとして、となりで楽器を弾く人から出てくるエネルギーとプレイヤーのスピリットを感じながら、一緒に本当に良い音楽を作り上げるという本来の役割を大切にしたいんです。質問の答えになってますか? PCI:はい、納得です。 そういう音楽を本当に期待しています。 日本のファンに何かメッセージがあればお願いします。 Melvin :音楽を愛してくれる皆さんへ。 音楽に国境はありません。 私は日本と日本人のスピリットが大好きです。 日本のタワーレコードにはこっちでは売ってないCDとかもあるんですよ。 知ってました? 来年かならず日本へ行きますので音楽を通じてまた多くの日本人の人達とコミュニケーション出来ることを楽しみにしています。 PCI:是非今度は一緒に日本でラーメンとギョーザを食べましょう! 有り難うございました。
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