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2006年2月27日

北極圏・フィンランド公演ツアー part1

bassninja.jpg
"photo by Akira Lou"

今沢カゲロウです。

先月はアナハイムのNAMMショウ2006最終日、PCI (Xotic)、KTS、Arkayブースにお邪魔しました。ソロのデモ演奏と、素晴らしいギタリストであるトシ・ヒケタ氏とのセッションデモのプレイを楽しみました。その時は、ベースシンセサイザーとループマシンの間にBASS ROBOTALKを入れて、普段使っている、トーキングモジュレーターとは違う、とても芳醇なエンヴェロープ・フィルターサウンドを堪能しました。6弦フレットレスベースのブリッジコマにはKTSチタンサドル、弦はArkayを使っています。今回のNAMMのデモでは未使用でしたが、ライヴやレコーディング環境に応じて、Trilogic Bass Preampをラストにセットしたり、RC Boosterを最初か2番目にセットしています。

これから、桜が開花するくらいまで、しばらくツアーが続きますが、その前に、第5回のコラムでふれました、昨年末の北極圏・フィンランド公演ツアーについて少し書きます。
part1は、なんとなく日記調で・・・。
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・・・ジェームス氏とフィンランド航空でヘルシンキ空港へ。そのままヒルトンストランドにチェックイン。すでに外は真っ暗。その数時間後に、今回共演するベーシスト、ヤン・オロフ・ストランドバリ氏とヘルシンキ公演のコーディネイトをしていただいたイオカ氏の4人で会合。今回の打ち合わせや今後について、挨拶を兼ねてホテルのバーで話す。ヒルトンストランドにスタンリー・クラークやマーカス・ミラーが来た時の話。ヘルシンキのオーディエンスがミュージシャンの知名度にかかわらず非常にシビアだという話。ヤンが新作で共演したポール・ジャクソンの話。彼も俺も大好きなジョン・マクラフリンの話。マクラフリン・トリオにもかつて在籍し、ヤンの2003年の作品に参加したドミニク・ディ・ピアッツァの話。ヨーロッパBASSDAYの話。実は毎年ヤンもNAMMにデモに来ていて、2005年俺とMTDブースでニアミスしていた話など。ジェットラグもあり、夜早い時間に睡魔が襲ってきた俺とジェームス氏。21時頃にヤンとイオカ氏と別れてから公演会場の一つを下見し、ヘルシンキの低い気温を実感しながらトナカイで夕食。
翌朝にはすぐにロヴァニエミ空港へ。北極圏に向かうのだ。

・・・ヘルシンキ空港からロヴァニエミ空港へ。思った通り小さな空港。外に出ると極寒地帯が。マイナス20度以下を知っている俺が、生まれて初めてTシャツを重ね着し、首の裏と左の腰にカイロをつけてのぞんだが、15分が限界だ。出た時に曇り空だったトナカイオブジェの外観があっという間に真っ暗に。空港は薪ストーブのみ。たのんでいたタクシーも全然来ない。雪景色が人生初体験のジェームス氏はこの時はノリノリだったが、雪道を知らないジェームス氏は、すぐにすべって転倒してしまう。そう。雪道をなめてはいけないのだ。なんとか車をつかまえたが、まだまだ目的地は北なのだ。世界一北にあるマクドナルドを横目に、氷の道の上を車が猛スピードで飛ばす。夜は熊肉かヘラジカあたりか。慣れない肉食が続く。そして、この後の最高のパフォーマンスの為に、機材の凍てつき具合も気になる。

ジェームス氏がテスト用に持参したマルチエフェクターは、ものの三分で結露が。人はなぜ極北を目指すのか。(というか、公演依頼があって来ただけなのだが(笑))俺はなぜ指の凍り付く街で速弾きを試みているのか?(笑)。冷静になってみると、やはり俺はバカかもしれない(笑)。夜にはマイナス30度を余裕で下回る、極寒の地の果ての吹雪の中、改めて俺はそう思ったりしていた。

・・・北極圏を超えて、すぐにそれを表す看板が。「そこで降りましょう。撮影もここから開始ですね・・・。」ライヴを控えたベースを、極寒の野外でセッティング開始。「ジェームス、俺凍る。弾くのは5分が限界。早く!」
しかし、ヒートアップすると案外いけるものだ。15分はいけるかな・・・と、余力を残しながらいったん片付けてさらに北へ向かおうとすると、・・・股の付け根が硬直。い、一歩が踏み出せない。ベースのケースもジッパーが開いたまま硬直。サメの歯の化石のようになっている。ベースシンセサイザーユニットをおおった霜をはらいながら、触るのもつらいほど冷えきったシールドを抜く。まだまだ始まったばかりなのだ。これから夜がふけていき、もっともっと冷えていく。 藁のテントでカップルがソーセージを焼いていた。ジェームス氏が「買うから」。といって、火にあたらせてもらう。

・・・北極圏を越えて2日目。ジェームス氏も俺も鼻から出血。鼻をかんでも固まった血のみ。唇横から目の下まで完全に皮膚があれてしまい、ジョークを言っても笑うことができない(笑)。ヘルシンキでジェームス氏が購入したリップクリームが二つあり、唇のみならず患部にぬりたくりながら北上。少しやわらぐが、雪道を甘くみていたジェームス氏は凍り付く道で転倒。骨折か?痛みで彼の右肩が上がらなくなる。だから、本当に雪道は甘くみてはいけないのだ。

ジェームス氏も撮影用の演奏に納得したようで、いい映像もとれたのだろうか?オーロラには恵まれないながらも北極圏超えの演奏に納得している。ジェームス氏もBASSNINJA白Tシャツ一枚に。半裸を試みるが失敗(笑)。バカだね(笑)。

彼が俺の野外演奏の撮影のテスト用に持参した新品のアコギとマルチエフェクターは完全に凍死状態に。ヘルシンキでは1日三回以上湯船につかったが、ランタシリ・ポホヤンホヴィホテルには風呂がなく、24時間ウォームビズ体勢(笑)。ジェームス氏はひたすらきつい酒を飲んでいた。北極圏を戻り、ロヴァニエミ空港からヘルシンキ空港へ。ベースの無事を確認してすぐ、ヘルシンキ公演。

・・・ロヴァニエミ空港からヘルシンキ空港へ飛び、ヘラジカと羊の夕食。ランタシリポホヤンホヴィホテルで出てきた、ミートボールにルーをかけてイチゴジャムをそえる食事は、典型的なスウェーデンの料理だが、ジェームス氏は初めての体験のようで、反応を見るのが楽しかった(そりゃそうだよな。俺もいまだに味覚がわからないし。)(笑)。
フィンランドサウナを楽しもうとするが、あまりに身体が冷えていて、身体が元に戻るのに20〜30分、発汗までに40分近くかかってしまう。日本でいう、いわゆる水風呂というものはなく、そのかわり、裸で飛び出し、マイナス10度の外気に直接ふれるのだ。

・・・ヘルシンキ・ユットゥットゥパという会場で公演の日。
ここはヘルシンキにおけるブルーノートのような会場。400人収容の会場は沢山の立ち見客も出て盛り上がった。

〜セットリスト〜
1 ROLLERCOASTER(ヤン・オロフ・ストランドバリ・プロジェクトと5人で。)
2 シタールソロ〜Encyclopedia of Bass Art
3 V
4 trefoil
5 greyzone
6 stain
7 Sing a simple song
8 Ninja coming
9 stratos
〜アンコール〜
10 improvisation(ドラマーのトニ・ポルセンとDuo)

ヘルシンキ・ユットゥットゥパ公演のアンコール前に、グッズ売場に人が殺到していた。
そこにいたジェームス氏は撮影も兼ねていたため、「俺は撮影中だ!お金はそこに置いて、勝手に希望のアルバムを持っていってくれ!」という、ジェームス氏のジェスチャーのもと修羅場の展開に(笑)。サインしてあげたいが、俺は本番中だ(笑)。ヘルシンキのお客さん、うれしいけれどもう少し待っていてください(笑)。

・・・ジェームス氏とヤン(オロフ・ストランドバリ)と極寒のカフェ。
俺もヤンもフェイバリットがジョン・マクラフリンということもあり、話が止まらない。
それから、北欧つながりでペッカ・ポーヨラや隣の国のサムラ・ママズ・マンナ、マッツ&モルガン、マティアス・エクルンド、ヨハンソン兄弟の話。ヤンはかつて俺がアルバムに参加した、ハッセ・ブルニウソンとも何度か共演しているらしい。ほとんど俺が面識ある北欧のミュージシャンとも面識があるようで、ショーン・レーン亡き後、ヨナス・エルボーグがマティアスと共にトリオでインドにツアーに出る話や、マティアスが今アメリカで結構仕事で呼ばれていて頑張っているという話など。この前にストランドバリ夫人がやっているベース専門店に連れていってもらったが、チェコのノイザーというブランドの6弦ベースが3本もあった。7年前に広告を見た時は、ボディがもっと大きくて、6弦ベースのモデルはまだなかった。

その後、ヘルシンキで一番大きな、俺のクリニックの候補地の一つだった楽器店にいったが、ヤマハとフェンダーばっかり。そしてなぜか、数の割に6弦ベース率が高い。「大は小を兼ねる」というおおざっぱな感じなのか?(笑)。トニ・ポルセンがやってきた。ヘルシンキの大手のレコード店にいったら、彼の参加アルバムがあったので、ジェームス氏がすかさず購入。トニとは前日に一緒にやったばかりなので、そのセッションの話から、彼が公演で来日した時の大変だった話などで盛り上がる。 彼が翌日からフィンランド国内ツアーに出るので、早い時間に解散。来年の再会(どこの国になるやら)を約束し、握手して別れる。ジェームス氏と羊で夕食。

・・・翌々日にヤンと再会し、ヘルシンキを短時間で周遊。前日にクリスチャンのジェームス氏と訪れたヘルシンキ大聖堂などをのぞき、ジェームス氏、オルトドックスの教会を写真におさめていく。ヤンのカーステレオからは、スタンリー・クラークの35年変わらないベース・プレイ。「この湖畔は夏に来たら最高なんだ。」「この公園は夏にはフェスで大にぎわいなんだ。」 「夏には・・・」最高らしいベストスポットが真っ暗闇の中で次々紹介される。ジェームス氏はそのつど車から降り、ひたすら教会の外観をとり続けていた。

翌日はタンペレでベーシスト・ミーティングが企画されていた。マイケル・マンリング、イギリスからはリック・ウエイクマンバンドのベーシスト、そしてフィンランドからはヤン・オロフ・ストランドバリ、日本から俺が参加し、40人近い北欧のベーシスト達が来る予定だった。俺は今回のツアーの主催者とのスケジュールが合わず、タンペレは断念。「問題ない。俺達には来月のアナハイムがある。そこですぐに会おう。」
と、ヤンとは土曜日のインディアレストランでの食事後にヘルシンキで別れた。

アナハイムのNAMMショウでは彼はEBSブース、マイケルはZONブース。ヤンの友人のドミニク・ディ・ピアッツァはフォデラブース。ドミニク同様、ヤンのアルバムに参加したアマン・サバル・レッコも来るかもしれないという。そして、来秋のドイツでは、ヨーロッパBASSDAY。ヤンは2004年のマンチェスターに出演した。やり続けていればいつでもすぐに会える。そんなに遠くはないんだとつくづく思う。

〜part2に続く〜
(part2はいくつか写真をお見せしながら書いていきます)

*現在のツアーは、10枚目のアルバム、"FOLKS"リリース記念を兼ねています。

こちらで少しだけ試聴できます。

http://www.bassninja.com/discog.html

ぜひ聴いてみてください。

このアルバムの発売を記念したツアーも、国内外で年末年始をまたいでずっと続きます。

お近くの街に来たさいには、是非足を運んでください。楽しいですよ。

2月25日(土)から3月中旬までは、下記の会場に行きます。

2月25日(土)
イベントゲスト
at: 長崎大村BeCK (大村市東本町409(大村アーケード内) / tel: 0957-53-7960)
start: 19:30

2月26日(日)
イベントゲスト
at: 久留米ガイルス (久留米市東町27-4-B1 / tel: 0942-35-0801)
start: 18:30

2月27日(月)
イベントゲスト
at: 久留米HEARTY'S (tel: 0942-38-7042)
start: 21:00(今沢の出演時間)
# カスタムミュージック(0942-34-2424)主催

2月28日(火)
イベントゲスト
at: 熊本ジャンゴ (熊本市新市街1-36-B1 / tel: 096-355-6960)
start: 19:00

3月1日(水)
ソロパフォーマンス
at: 鹿児島SRホール (鹿児島市東千石町3-41キャパルボ7F / tel: 099-227-0337)
start: 19:00

3月3日(金)
イベントゲスト
at: 宮崎ゼットン (宮崎市柳丸町104-4 / tel: 0985-35-1062)
start: 19:00

3月4日(土)
ソロパフォーマンス
at: 都城オールドアース (都城市大王町4-13 / tel: 0986-24-6469)
start: 21:00

3月6日(月)
ソロパフォーマンス
at: 大分カンタループ㈼ (大分市都町3-2-30中山第五ビル6F / tel: 097-548-5363)
start: 19:30
# 大分テイオンズクラブ協賛企画

3月7日(火)
ソロパフォーマンス
at: 佐賀バーガイルス (佐賀市白山2丁目6-5-4F / tel: 0952-26-2455)
start: 20:00

3月9日(木)
ソロパフォーマンス
at: 福岡ニューコンボ (福岡市中央区渡辺通5丁目1-22 / tel: 092-712-7809)
start: 20:00

3月10日(金)
イベントゲスト
at: 鳥栖Bar Vapeur (鳥栖市本通1丁目810-23-2F / tel: 0942-87-5586)
start: 20:00

3月11日(土)
ソロパフォーマンス
at: 大竹大瀧神社氏子会館 (大竹市白石1丁目4-1 / tel: 0827-52-4878(担当:ジャズ所))
start: 17:00(予定)

3月12日(日)
イベントゲスト
at: 広島観音マリーナホップ (広島市西区観音新町4-14 / tel: 082-503-5500)
start: 13:00 15:00

3月13日(月)
ソロパフォーマンス
at: 倉敷クッキージャー (倉敷市老松町4-7-9 / tel: 086-425-9901)
start: 20:00

3月14日(火)
BASSNINJA session
at: 姫路EASE (姫路市威徳寺町69 / tel: 0792-81-7583)
start: 19:00

3月15日(水)
BASSNINJA session
at: 神戸ビッグアップル (神戸市中央区山本通3丁目14-14トーアハイツB-1 / tel:
078-251-7049)
start: 19:30

3月16日(木)
ソロパフォーマンス
at: 京都ラグ (京都市中京区木屋町通三条上る京都エンパイアビル5F / tel:
075-241-0446)
start: 19:00

3月18日(土)
ソロパフォーマンス
at: 福知山B♭ (福知山市堀2182 / tel: 0773-75-1659(NKmacs))
start: 20:00

3月19日(日)
ベースクリニック
at: 福岡スクールオブミュージック専門学校 (福岡市博多区石城町21-2 / tel:
0120-717-263)
start: TBA

3月24日(金)
ソロパフォーマンス
at: 宇都宮ビッグアップル (宇都宮市本丸町13-19 / tel: 028-632-5585)
start: 20:30

これからも応援よろしくお願いします。(2/24/06)


今沢カゲロウ/Quagero Imazawa   プロフィール

世界を駆け巡り、欧米で“BASS NINJA”の異名をとるエレクトリックベーシストであり、作曲家。全10作(2006年2月現在)のアルバムを発売。年間250本以上の世界公演を行う。
http://www.bassninja.com/

投稿者 admin : 2006年2月27日 01:58