« 2005年8月 | メイン | 2006年2月 »

2005年11月 9日

北極圏公演ツアー決定!!および冬のデンマークの苦い思い出

imasawa3.jpg
photo by Akira Iou

今沢カゲロウです。
”BASS NINJA TOUR 2005”がずっと続いております。
コンサートツアーの間に、気がつけば晩秋になってしまいました。
札幌のほうでは、初雪が降ったそうですね。

横浜、米子、豊岡、京都、名古屋、飯田、岡崎、市川、上福岡、東京、いわき、帯広、苫小牧、札幌、所沢(早稲田大学学園祭)、一関、仙台・・・と公演し、これから広島空港へ飛ぶところです。

今年1月のNAMMショウ2005でデモをやった後で、東京に戻ると、不思議な手紙が海外から。
アラスカからのメッセージ。

「北極で演奏しませんか?」と。

・・・・・?????

昨年の東欧のドラキュラ城の演奏も最初、冗談だろう???と思いながら、気がついたら実現していた。
・・・しかし、よりによってなぜ北極?
「おそらく少し変わった人が、どこかで演奏を観て、過剰反応して変な手紙を冗談で書いてきたに違いない。」
と思いながら、真に受けなかった。
”ものすごく厚ぼったい格好をしながら、アンプの音より大きな吹雪の中、イヌイットの前で野外で演奏する自分”を想像して、クスリと数秒間笑いながら、「冗談よせよ(笑)」と、その手紙を置いた。

・・・しかし、あれから9ヵ月。気がついたら、その公演ツアー、年内に決まってしまっていた!!(笑)。
それもよりによって12月。
「スケジュールの調整が難しいので、12月上旬あたりにならないと難しい。でも、冬に北に行くと日が極端に短いし、・・・夏なら最高なんだけど?」
と(少々断るような感じで)言っていたのだが、
「よし、じゃあ12月にやろう。ギャラと全ての経費は心配するな。ベストの環境を用意するから。ただし、2週間はこちらの要望通りにスケジュールをこなして欲しい。」と。
少し前に話がありながら、スケジュールが合わずに行けずにいたフィンランド公演の話をすると、「わかった。じゃあ、フィンランドとアラスカ両方演奏でまわって北極圏を越えよう。」と言う。
「そんなの2週間じゃ足りないよ。」というと、
「わかった。じゃあ、アラスカは後の楽しみにとっておいて、フィンランドから北極圏を越えよう。北極圏を越えて、辺境の地で弾くBASSNINJAを観たいし、映像にも収めたいんだ。」と。

・・・絶対この人おかしい(笑)。でも、どんどんスケジュール、公演会場が決まっていった。400人くらいの収容の会場が。ホテルもフライトも全て決まってしまっている。
もう、やりましょうということです(笑)。

北極圏を越えたことはないが、今まで何度も北欧には演奏で行っている。
夜の11時半にようやく日が暮れたと思ったら、夜中の1時には日が昇ってきた北欧の夏も知っている。朝の10時半すぎに日が昇ったと思ったら、昼の2時半には日が暮れだした北欧の冬も知っている。夏は楽しい思い出でいっぱいだ。

・・・しかし、冬はとんでもない思い出もひとつだけ。

10年くらい前の話。
冬のデンマーク。

南スウェーデンのマルメ公演に行くまで、一週間をコペンハーゲン中心のクラブサーキットにあてようと、あるイタリア人のV氏というオーガナイザーからのオファーがあったので一週間分のツアースケジュールをまかせていた。その年の夏に何会場かお世話になっていたので、その時は安心していたのだ。
コペンハーゲンの空港に飛んで、ややカントリーサイドにある待ち合わせ場所(海沿いにある、50メートルx20メートルくらいの工場跡地のような廃屋)に午後の3時ごろ(約束の時間)に行くと、・・・なんと彼はいなかった。そして、いくら待っても来なかった。
その廃屋は鉄をあつかうアーティスト達のアトリエも兼ねており、夏は5~6人人がいて、そこでバーベキューをしたり、そこに転がっている壊れた車でアーティスト達は寝泊りしたりしていたのだが、冬はあまりに寒いため雰囲気も違い、ほとんど誰もいなかった。
たまたま夕方に一人だけ通りかかったアーティストに、「V氏を知らないか?」と言うと、「V?親父の体調がすぐれないからといって、数日前イタリアに帰ったよ。」と言う。
「じゃ、俺はもうここを出るから。カゲロウも大変だけどグッドラック!」と言ってすぐにいなくなった。気温は0度から3度くらい。とにかく寒い。気がつけば真っ暗。風がしのげるだけ屋内の方がまだましというだけ。しかし、よく見ると天井は穴があいており、屋根の代わりのビニールシートが、風でバサバサなびいている。近所に店はない。バスもない。タクシーもない。食べ物もない。電話もない。
・・・完全にV氏にやられてしまったようだ。

夏のツアーでずいぶん世話になったV氏が事前連絡もなくこのような事をすることが、その時は全く理解できず、しばらくの間、これからどうしようか考えようとした。 しかし、とにかく寒く、あたりは真っ暗で、誰も来ない。荷物も多く、時差ボケもあり、外に出て歩き出す元気もない。こわれた車の中に入っていた汚れた毛布をかき集めてくるまりながら、どうしようか考えた。 夏にここに来たときにあった、ろうそくのありかを手探りで探しながら、ライターで湿気を取って、火をつけた。少し明るくなったが、空腹も渇きも疲労も寒さもひどく、「何か食べないと。」と思った。「夏の頃はここにジャガイモや玉ねぎがあったんじゃないかな。」と、カセットコンロの近くを手探りで探した。すると、いつここに持ってきたのかわからないような、芽が沢山出ている古いジャガイモと、ほとんど腐っている古い玉ねぎと古い米が出てきた。秋の間にアーティストが持ってきて、そこに置いていったんだろう。 手を洗うために川の水をホースで引っ張ってくる場所があったのを思い出し、枯葉まじりの水を使って、古い米を、持ち手のないジャンクのような鍋で炊く。 ジャガイモと玉ねぎを置きっぱなしになっている塩と香辛料と共に炒めて、かなり辛い味付けにしてご飯にかけて食べる。 あまりの辛さで少しだけ体があったまる。枯葉交じりの水を沸かして、置きっぱなしの紅茶のティーバッグも見つけた。少し食べ残したので、何回かに分けて翌日に食べようと置いておき、あまりの眠さに気を失うように車の中で眠る。
・・・しばらくすると、巨大な野良犬が4匹くらい工場に入ってきて、その残りを取り合いだした。びっくりして、車の中に犬が入ってこないように息をひそめた。数十分して、犬は外に出て行き、再び静寂が。毛布に包まりながら、傍らにはベースのケース。夜中になり、気温はますます下がっていった。
「俺、何しに来たんだろう。演奏の為に来たんだよな。」と思いながら、意識がなくなった。
翌朝は海辺の水鳥の鳴き声で目が覚めたが、人の気配。しかも、自分が寝ている車の隣の車が揺れている。 コペンハーゲンのクリスチャニアに本部があると言われている、ヘルズ・エンジェルズの残党達が薬をキメながら、乱交を始めていた。息をひそめて、彼らが出て行くのを数時間待つ。
・・・それから3日間は、誰もここには来なかった。
そのまま、そこで3日間、寒さと飢えと戦いながら過ごした。暗闇の中で、「こうやって、人は死んでいくのかな。」と、幾度となく死を意識した。

4日目、ようやくある人がやってきて、その人に「コペンハーゲンまで車で連れて行ってくれないか。」と頼み込んだ。おろしてもらったのは、中央駅前の商店街。この日は少しだけ晴れていた。 失意で、あまりに悲しくて、何も意識していないのに、目からは涙が出ていた。
「・・・もうどうにでもしてくれ。でも、今の俺には音楽が必要だ。寒くても、腹がへっていてもいいから、音楽が必要だ。演奏したい。」
そう思って、バッグに入っていたピグノーズ(電池で動くアンプ)と、ホールドディレイに電池を入れた。手がかじかんでよく指が動かなかったが、気持ちでベースソロを開始した。プロモーションのために持ってきていた、カセットテープを10本以上、何となく並べながら・・・。 すると、どんどん、人だかりが。そして、ギャラリーから歓声があがり、どんどん適当な値段をつけていたカセットテープが売れ出した。

一時間後、誰かから呼ばれてきたのか、あるデンマークのミュージシャンが通りがかり、「素晴らしい。こんなベースは見たことが無い。君のようなベーシストを探していたんだ。」
「君の力で、僕たちを有名にしてくれ。今すぐレコーディングに参加してくれないか。」と言ってきた。「よしわかった。しかし、俺はワールドワイドなプレイヤーだ(心の中で苦笑しながら)。忙しいので、あと4日しかデンマークにいられない。
(騙されて、4日間スケジュールが空になっていただけなんだけど(笑))
その間に、俺にフリーアコモデーションとデンマークの美味しい食事を与えてくれないか。ギャランティーとは別に。」と、弱った身体をごまかしながら強がって言った。

彼らは、「もちろんだとも。早速スタジオへ行こう。」と言って、車に乗せてくれた。 疲れきっていたが、冷えた身体のまま、必死に曲を覚えて、録音していった。 その後、暖かい部屋へ連れて行ってくれ、暖かいベッドと食事を4日間与えてもらい、すっかり元気になった(笑)。
船着場で彼らと別れ、南スウェーデンに入り、マルメの公演先で、次のツアーのエージェントと何事もなかったかのように合流。 その後のスウェーデン、ドイツの公演ツアーは無事に終了した。

・・・若き日にこんな苦い思い出がある冬の北欧。
今は免疫もある上、経験もあるので、当然こんなヘマはもうしないが(笑)、今月末からの冬の北極圏公演ツアーで、冬の北欧のイメージを、素敵なものに変えたいものだ。
無事に帰ってきたら、改めて報告したいと思います。

*現在のツアーは、10枚目のアルバム、"FOLKS"リリース記念を兼ねています。
こちらで少しだけ試聴できます。
http://www.bassninja.com/discog.html
ぜひ聴いてみてください。
このアルバムの発売を記念したツアーも、国内外で年末年始をまたいでずっと続きます。

お近くの街に来たさいには、是非足を運んでください。楽しいですよ。
11月11日から月末までは、下記の会場に行きます。

11月11日(金)
イベントゲスト
at: 広島COVER (広島市中区流川町7-6 白菱第五ビル2F / tel: 082-249-3917)

11月12日(土)
イベントゲスト
at: 岩国米軍基地 (tel: 0827-23-4040(OANA'S PLACE))

11月13日(日)
インストアライヴ&サイン会
at: 広島タワーレコード (広島市中区新天地2-1広島パルコ新館9F / tel: 082-240-0063)

11月13日(日)
イベントゲスト
at: 広島観音マリーナホップ (広島市西区観音新町4-14 / tel: TBA)
(2ステージ)

11月15日(火)
at: 福岡スクールオブミュージック専門学校(ベースクリニック) (福岡市石城町21-2 / tel: 0120-717-263)

11月17日(木)
at: 宮崎SO-HO (宮崎市(10月に住吉より移転予定) / tel: 0985-73-1817)

11月18日(金)
at: 高鍋プロローグバー (宮崎県児湯郡高鍋町大字北高鍋235 第2つるやビル2F / tel: 090-3782-6179)

11月19日(土)
at: 日向市文化交流センター小ホール (日向市中町1番31号 / tel: 0982-53-4216)

11月20日(日)
at: 鹿児島CAPARVOホール (鹿児島市東千石町3-41キャパルボ8F / tel: 099-239-2460(平川屋楽器))

11月22日(火)
at: 神戸ビッグアップル (神戸市中央区山本通3丁目14-14トーアハイツB-1 / tel: 078-251-7049)

11月23日(水)
at: 舞鶴マイコムスペースII (舞鶴市字浜606 / tel: 0773-75-1659(NKmacs))

11月24日(木)
at: 大阪南堀江KNAVE (大阪市西区南堀江3-11-21 TallValleyB1F / tel: 06-6535-0691)

11月26日(土)
at: 鹿沼レッドアライヴ (鹿沼市富岡90-32 / tel: 0289-64-0906)

11月27日(日)
at: 宇都宮ビッグアップル (宇都宮市本丸町13-19 / tel: 028-632-5585)

11月30日(水)~12月14日(水)
北極圏・北欧公演ツアー

これからも応援よろしくお願いします。(11/11/05)

今沢カゲロウ/Quagero Imazawa   プロフィール
世界を駆け巡り、欧米で“BASS NINJA”の異名をとるエレクトリックベーシストであり、作曲家。全10作(2005年8月現在)のアルバムを発売。年間250本以上の世界公演を行う。
http://www.bassninja.com/


投稿者 admin : 05:17


2002-2018 Prosound Communications Inc
  サイトマップ  PCIについて  個人情報について  連絡先