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みどり楽器

愛知県名古屋市


近藤店長

PCI:みどり楽器さんの創業はいつでしょうか?
近藤:昭和42年、1967年です。

PCI:創業者は?
近藤:親父です。

PCI:最初はどんなお店だったのでしょうか?
近藤:親父はもともとヤマハとかの楽器の卸しをしている会社に勤めており、そこから独立したんです。その頃「みどりピアノグループ」という先生達とお付き合いがあったので、ピアノとかも売りやすいのではないかと思い、そこから名前を取って「みどり楽器」とした様です。

PCI:この楽器店とは別に「おんぷ館」というのもありますね?
近藤:はい、音楽教室です。

PCI:どんな音楽教室なんですか?
近藤:楽しい音楽をめざす教室です。大手さんの教室とはちょっと違いますよ。

PCI:楽器は何を教えているんでしょう?
近藤:ピアノから、チェロ、バイオリンなどもやってますし、LM系ではギター、歌、サックスなども教えています。

PCI:生徒さん達の年齢層は?
近藤:子供さん達から、シニアというクラスも始めたので、上は70才以上の生徒さんもいます。発表会はショー的にやるんですよ。普通のいわゆる発表会というのとは違って、照明とかも本格的なショーを演じます。

PCI:楽しそうですね。今は近藤英生さんが2代目ということで店長をされているわけですね?
近藤:はい。もう一人弟がいまして兄弟でやってます。

PCI:お父さんは?
近藤:マネージメントにはまだ残っています。店頭は全て僕らがやってますけど、音楽教室の運営とかはまだ親父がやっています。

PCI:現在のみどり楽器さんでの主力製品は何でしょうか?
近藤:基本的にはギターですね。めざすは「名古屋の穴場」って言われることです。大手楽器店さんが一杯あって、どこへ行っても同じフェンダーとか定番商品が置いてあるわけです。この店にしかない商品とか、同じフェンダーでもここに来ればちょっと変わったフェンダーがあるとか、そんな風な店をずっとめざしています。

PCI:ここではギターのリペアもやっていますね? 近藤さんが実際にリペアをされるのですか?
近藤:はいやります。私の手に負えないリペアは、専門家の方々に知り合いがいますのでサポートして頂きながら進めています。

PCI:このお店で働く様になるまでのいきさつを教えて頂けますか?
近藤:結構いい加減に生きてきてまして。(笑) 大学時代は北海道で「旅の宿」みたいなものを自分達でやっていました。

PCI:ペンションみたいなものですか?
近藤:いやもっとレベルの低いものですよ。(笑) 農家を借りて相部屋で泊るだけみたいなものです。学生時代と卒業してからも2年位やってました。その後、こんなことばかりしていてもダメだと思い、一旦名古屋に帰ってきたんです。

PCI:当時はお店はまだお父さんがやってられたのですね? どういう状況でしたか?
近藤:当時はシェクター・ショップでした。シェクター・ギターの組み付けなども本格的にやっていました。見様見真似でトライしました。お客さんに「このギター、タップできる?」って言われても、「タップって一体何だろう?」っていうレベルでしたが。(笑)

PCI:それは今から何年前のことですか?
近藤:24才の時ですからもう18年前になります。少しずつやったことのなかったハンダ付けにも挑戦しました。その頃今の仕事への接点ができたんです。でも、それからまたしばらくして僕は東京に出ちゃったんで、また8年位間が空くことになります。

PCI:東京では楽器関係の仕事をされたのですか?
近藤:全然違うんです。(笑) 当時は変な話ですが、ライター、作家志望だったんです。大手出版社に知り合いもいたのでそこからの仕事をもらいつつ、それじゃ食えないんで、運送屋とかでアルバイトするという生活をしていました。

PCI:ジャンルとしてはどんな物を書いていたんですか?
近藤:モータースポーツとか旅に関してのエッセイです。

PCI:それがまたどうして再び名古屋に戻って楽器店を継ぐということになったのでしょう?
近藤:その頃、うちの弟が真面目に大学を出てヤマハさんに就職し、その後ここに戻ってきてたんです。僕の方はオートバイで海外を回ったり、シルクロードや中東を走ったりしてましたが、うちの奥さんといよいよ結婚することになりました。それでできれば結婚する前にもう1回海外旅行をしたいってことになり、2人で半年間旅に出て色々な国を回ってたんです。


PCI:どこへ行かれましたか?
近藤:基本はネパールからです。ヒマラヤに入りたかったので。4ヶ月ほどネパールにいて、それからアジアの国々を回り、その時始めてアメリカへも行ったんです。そしてアメリカにいる時、うちから電話がかかってきて、「従業員が一人辞めるんで戻って来るんだったら今だぞ」って言われたんです。弟からの電話でした。「一緒にやろう」って言ってくれたんです。それで戻ってこの仕事をやる決心をしました。

PCI:それは何年前のことですか?
近藤:11年ほど前になります。

PCI:その頃お店はどういう状況でしたか?
近藤:もうシェクターショップは無くなっていて、弟がヤマハで覚えてきた製品、デジタル関係の物がメインになっていました。

PCI:その頃はあまりギターは置いて無かったんですね?
近藤:そうですね。フェンダー、ギブソン、ミュージックマンが1本ずつ、それにムーンとシェクターが少しあるという程度でしたね。

PCI:その後ギターを増やされてきた訳ですね。最近はどうですか?
近藤:最近2〜3年はギターの商売は大変厳しいですね。

PCI:それはなぜでしょうか?
近藤:中部地区は楽器商組合とか卸し商組合とかの団体活動が盛んですが、中部楽器協会というのがあります。その中でいつもイベントをやっており、26年も続いたバンドコンテストという企画もありました。

PCI:中部地区だけでやっているイベントですね?
近藤:そうです。僕がこの店に戻ってから9年間、僕がそのイベントの実行委員をずっとやっていました。そのなごりで、うちの店でも来週の土日に野外ライブをやるんです。

PCI:みどり楽器さんの主催なんですね?
近藤:そうです。というか、中部楽器協会のイベントのなごりなんで、お祭りの中で栄とかのでかいステージでやらせてもらえるんです。ただそれがね、7〜8年前だと募集するとやりたいバンドが100バンドとか来るんですよ。それが今は本当に減ってしまったんです。そういう意味では、楽器屋さんに来る音楽人口は激減しているのかなと思っています。

PCI:ライブハウスは如何でしょう? 名古屋にはボトムラインやブルーノートもできましたが。
近藤:そうですね。ボトムラインとは一緒に色々なイベントをやらせてもらっています。こういう大きいところは別として、小さい所、20人から30人入れば一杯になる店はたくさんできています。そういう意味ではライブハウスのハードルは下がっているんですけど、上手でなくても誰でも出られるという状況です。

PCI:楽器屋さんへ行ってちゃんとしたギターを買わなくてもライブハウスで演奏できちゃうということですね?
近藤:そう、勘違いしている人も結構多いのは確かですね。ただそういう場所が増えているってことは楽器をやりたい人がもっと増える要素になると期待はしています。

PCI:珍しい物を揃えるということですがお店のお客さんの年齢層は高いのでしょうか?
近藤:そうですね。常連の人達が中心にコアなお客さんが増えています。大手楽器店さんの進出で生き残りは難しくなってきましたが、それでもわざわざうちへ来てくれるお客さんがいますので、そういう方々を大切にしていきたいと思っています。とにかく「お客さんに対して親切にしようね」っていつも言ってます。ただそれだけです、僕たちができるのは。

PCI:品揃いとしてもコアなお客さんに喜ばれるパーツを揃えたり、珍しいギターを置いたりしているわけですね?
近藤:そうですね。でも最近はちょっと変わってエフェクターを重要視しています。PCIさんにも協力してもらって珍しい物を入れています。皆が「お〜〜!」という物を揃える様にしています。

PCI:具体的に最近どういうものがこちらでは話題になっていますか?
近藤:最近ではXoticのBB Preampなんかを楽しみに待っているお客さんがいます。本日入荷しましたね。

PCI:お客さんの問い合せがあって注文されたのですか?
近藤:いや、僕が「こういうのが入るけどどう?この間試してみたんだけどこんな感じの音作れるよ」っていう情報を常連の人達に流すんです。この辺りには大学が多いので結構大学生の常連さんにこういう情報は喜ばれます。

PCI:常連さんの年齢は高いと言われましたが、一方で大学生の常連さんも多いんですね?
近藤:そうですね。一般的には最近の若い人達はドライなんで、たくさんのお店で試奏して条件の最も良い店で買うっていう人が主流の様ですね。でもそういう中で、楽器買うならここって決めて来て頂ける人達もいるんです。そういう人達を大事にしなきゃいけません。だから、そういう人達に「今度Xotic のBB Preampっていうエフェクター入るけどどう?」ってこちらから耳寄りな情報を流してあげるんです。ギターは皆持っていて、大学生にとっては簡単に2本目、3本目って買えないですからね。それだったら、「こんなすばらしい歪みが出るよ」 などと、ペダルを勧めてあげようと思っています。

PCI:そういう新しいエフェクターなどの情報はどうやって入手されるんですか?
近藤:やっぱりインターネットからですかね。イケベ楽器さんのサイトなんかも参考になりますね。

PCI:アメリカのミュージシャンや楽器店の人達も多くが読んでいる雑誌で「Vintage Guitar Magazine」というのがありますが、うちが窓口になって日本で年間購読の申し込みが出来ます。 情報源として如何でしょう?
近藤:それはいいですね。 「Vintage Guitar Magazine」はアメリカへ行くと必ず買ってきます。さっそく年間購読申し込みますので宜しくお願いします。

PCI:ありがとうございます。アメリカで話題の製品の広告などが満載ですから楽器業界の多くの人達が情報入手のために読んでいますね。 
近藤:珍しい物はどんどんうちの店のバイトの子達と一緒に試して、良い物であればお客さんにどんどん進めて行きたいです。

PCI:お店は今何人でやっているんですか?
近藤:LMの方は3人です。

PCI:CDの売り場も結構ありますが、これはiPodの影響などもあって縮小傾向なんでしょうか?
近藤:そうですね。 ただ、うちの場合はCDに関しても他の店にないクラシックやジャズの珍しい物を置いて居るんです。特にクラシックのCDはタワーレコードとかの大手では買わない人が多いんです。そういうCDが好きな年配の方はゆっくりと落ち着いていれる店で買いたいという事でよく来て頂いています。

PCI:なるほど、CDについても珍しい物を揃えて特色を出しているんですね。
近藤:そうです。楽器と同じで名古屋の穴場を目指しています。というか、そうしていかないと生き残って行けないと思っています。 

PCI:アンプの方はどうですか?
近藤:アンプはDr.Zですよ。これがいいよって進められるアンプがあまりなかったんですが、Dr.ZのCarmen Ghiaは良いですね。ただ、まだこの辺りではブランド名があまり知られていないので本格的に動くのにはまだ時間がかかるかもしれません。 

PCI:ここ数年ギターの商売が厳しいというお話がありましたが、回復のきざしは見えませんか?
近藤:店頭ではないですが、インターネット経由での売り上げは増えているんですよ。東京の郊外に住んでいるお客さんの注文もすごく増えています。Analog Manのエフェクターは店頭よりインターネット経由の方が良く売れます。

PCI:やはりインターネットでも珍しい物を紹介していこうとしているんですね?
近藤:そうなんです。普通の物だったら楽天とかどこでも皆さん買える訳ですからね。ちょっと穴場的なインターネットショップを目指しています。

PCI:今バンドをやっていると聞きましたが?


近藤店長お気に入りのArkay弦もあります!

近藤:はい、バンドではベースを弾いています。

PCI:ベースといえば最近Xotic Bassのご注文を頂いた様ですが、そのバンド関係の方からの物ですか?

近藤:そうではなくてうちの常連さんで、プロをずっと目指してこられた人達です。これからメディアにも登場する機会が増えてくるバンドです。

PCI:なんていうバンドですか?
近藤:B-Fishという名前です。ファンク系でCDを聞くよりライブを見ると本当に上手いなってビックリしますよ。 

PCI:なぜXotic Bassを注文して頂くことになったんですか?
近藤:僕自身がNAMM Showへ行った時にXoticのブースで実物をチェックしてすばらしいと感動したんです。それで最近PCI Japanにお願いしてしばらく貸してもらって店頭でお客さんに進めていたんです。そうしたらB-Fishの吉沢さんが実物を試して「これなんですか!?」ってたいへんビックリしたんですよ。木目が好きな人なんで、バールの物をお願いしています。 テレビへの露出度も増えてきたので楽しみにしています。

PCI:そうやってお店の常連さんにスポットが当たっていくと嬉しいですね。
近藤:そうですね。結構うちの常連さんで有名になった人いるんですよ。最近ではスキマスイッチです。 

PCI:彼らは名古屋出身なんですね。
近藤:そうです。すごく仲が良かったんですよ。有名になってしまいましたね。ちょっと前だと田村直美さんです。田村さんはずっと高校生の頃からうちのスタジオで練習してたんですよ。

PCI:近藤さんは最近どんな音楽を良く聴くんですか?
近藤:最近はジャズっぽいのが多いですね。今まで付きあって来たお客さんの年代が上がって来たのと、ジャズ好きな人が増えて来たからだと思います。

PCI:最近良く話題になる団塊の世代の人達、現在56歳から58歳の人達が数年で定年を迎え、楽器業界でも大きなお金が落ちるんではないかと期待している話が良くありますが、どう思いますか?
近藤:その傾向はすでにありますね。音楽教室にも年配の方が来る様になりましたし、音楽教室の講師の先生達もそういう世代の人が多いです。先日もご夫婦で60万円以上の楽器を買って頂きましたが、57歳か58歳だったと思います。まさに団塊の世代ですね。やはり50歳代後半で久しぶりに楽器をやろうと思う人の来店は間違いなく増えています。たぶん新しい大きな楽器店には無い現象だと思います。昔若い頃よくここに来たから久しぶりに戻ってきたという人も多いですね。 

PCI:これからそういう世代の方々は無視出来ない大きな存在ですね。
近藤:最近はライブハウスでも50代後半の人たちがよく集まる場所、またイベントも増えている様です。このマーケットは今後楽しみですね。 

PCI:若い学生さんから年配の方まで、幅広い範囲のお客さんに穴場として親しまれる楽器店になりつつあるということがたいへん良く分かりました。本日はお忙しい所ありがとうございました。(8/12/05)

みどり楽器
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