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ドクターMusic

(株)中部電子楽器


愛知県名古屋市


藤原店長

店長の藤原さん

アンプの修理については全国的に話題になっているお店です。歯に衣を着せぬ本音で話し合えます。ミュージシャンの皆さんが今何に一番困っていて、どうすればいいのかを分かり易く話して頂きました。

PCI:ドクターMusicさんがここでお店をオープンされたのはいつでしたか?

藤原:僕が15才の時ですからもう17 ‾ 18年前になります。

PCI:創業者はどなたですか?

藤原:僕の親父です。今は兄貴が社長で僕が店長やってます。実はこの店の仕事をやり始めたのは兄貴より僕の方が早いんですよ。

PCI:19才の時からですね?

藤原:ええ。兄貴の方はヤマハの浜松にあるカスタマーサービス部門へ、うちの会社から、正式名は中部電子楽器と言うんですが、出向してました。結局兄貴はヤマハで11年間働きましたね。ヤマハで働きながら技術の勉強をしてヤマハのカスタマーサービスのトップになった人間です。

社長の藤原さん

PCI:どういう技術の勉強をされたんですか?

藤原:楽器の修理技術です。うちの会社、中部電子楽器というのは、ヤマハの下請け会社だったんです。ヤマハ名古屋店の地下1階に工房を持ち、そこで楽器の修理をしてたんです。エレクトーンとかオルガンとかのメンテナンスが主な仕事でした。その後、この場所に移ってここに連日の様にヤマハからエレクトーンやオルガンが運びこまれました。それらを修理して送り返すというのが最初の商売でした。

PCI:それはお父様が自ら修理をされたんですね?

藤原:そうです。幼少の頃からそんな親父を見て手伝ったりしながら育ちました。ヤマハの会長さんとか上層部の方々は、中部電子の藤原と言えば皆さんご存知だと思います。もう既に定年退職された方も多いのですが、、、。

PCI:今お父様はどうされていますか?

藤原:会長という肩書きになり事実上引退です。ただし、HP製作は会長自らが製作、更新をしております。

PCI:アンプの修理がメインのご商売とお聞きしていますが、そうなった経緯を教えて頂けますか?

藤原:親父の世代は真空管テレビやラジオが当たり前の時代だったんです。そういうのが好きで修理の仕事をやり始めた頃、オルガン、エレクトーン、アンプも全て真空管を使っていました。ところが修理の仕事をやっていくうちに、時代の変化でエレクトーンはシート交換で済んじゃうし、外装はプラスティックにとどんどん合理化が進みました。修理のニーズはどんどん減っていったんです。この場所で会社を立ち上げてすぐに、それまでの修理の仕事がほぼ無くなってしまったんですよ。

PCI:エレクトーンのブームも去り、修理も必要無くなったんですね。

藤原:そうです。それで倉庫は空っぽになり、食べていくためには何か新しいことをやらなくちゃという事になったんです。それじゃ、店をやろう、スタジオをやろうという事になりました。適当というかとにかく実績を生かした商売を始めなければという思いから、倉庫を間仕切ってドクターMusicを始めました。でも、商品を仕入れるお金にも限界があって、色々な業者さんやメーカーさんに掛け合って助けてもらいました。今でも感謝しております。

PCI:創立早々大変な船出でしたね。

藤原:そうですね。一方その頃、今で言うKORG、当時の京王技研の社長さんと親父が仲良かったんで、コルグのキーボードの卸しをするということになったんです。それから大阪の日本音響さんが当時扱っていたPeaveyブランドの商品も卸すことになりました。その当時、KORG、Peaveyは認知度がまだまだでしたので、まず中部圏の楽器店さんへの売り込みからやろうという事になりました。

PCI:その営業活動はどなたがされたんですか?

藤原:うちの親父が1人でやりました。

PCI:それまで修理をされていた訳ですから大きな転機だったんでしょうね?

藤原:そうですね。それまでは修理をしてお金を頂いていたのが、物を仕入れて売ってお金を頂くという事に変わった訳ですから。家族を養っていかなきゃならないという事でがむしゃらに頑張った様です。

PCI:大きな時代の変化を乗り越えられ生き残って来られた訳ですね。現在のご商売の内容を教えて頂けますか?

藤原:兄貴がヤマハから戻るちょっと前にバンドブームというのがあって、それからアンプの修理の仕事が増えてきました。兄貴が戻ったのを契機にアンプ専門で修理をやってみようということになったんです。7年ほど前からですね。

PCI:今ではアンプの修理に関しては中部圏だけでなく全国的に有名になりましたが、アンプ修理のご商売は全体のどれくらいの比率になったんですか?

藤原:約半分ですね。インターネットからでも修理依頼、ご注文を受け付けていますよ。

作業場

PCI:インターネットと言えばあちこちのBBSでドクターMusicさんの名前はよく話題になっています。ネットでのご商売は伸びていますか?

藤原:そうですね。お陰様で2〜3割くらいは、ネットで遠方のお客様からも依頼や注文を頂ける様になりました。お客さんの話によると、東京でも大阪でも、アンプの修理をお客さんの要望通りに迅速にやってくれる所ははっきり言ってほとんど無いとの事です。東京の大手メーカーのテクニカルセンターからも何とか直してほしいと回り回ってうちに仕事が良く来るんですよ。

PCI:そういうアンプ修理のノウハウはお父様の技術の蓄積の影響も大きいんでしょうか?

藤原:そうですね。親父の技術のベースがあっての事ですね。

PCI:アンプ修理以外の残り半分のご商売は何でしょうか?

藤原:このお店での楽器販売と、サウンドアドバイザーという形でミュージシャンとタイアップし、音作りやエフェクターの選定、セットアップ、システムの組み方までのアドバイスをする仕事をやっています。それとスタジオ経営、簡単なPAのレンタルなどもやっています。

社長の藤原さんとアンプコーナー

PCI:事業の形態が大きく変わってきましたね。この不況をどの様に乗り気っていこうとお考えですか?

藤原:本音で話をする楽器屋さんの1つとして、うちはずっとこのスタイルで仕事を続けたいなと思っています。

PCI:本音で話をするという事と他に何かこだわりみたいなものはありますか?

藤原:特にこだわりを強く持っている訳ではなく、細かい事でも一生懸命お客さんのために仕事をするだけです。ただ、嘘をついたりだまして物を売ったりは致しません。販売に関しては、僕が心から納得のいくものだけを売る様にしています。どれだけ高いパーツや材料を使っていようが、どんな有名な方が使っていようが、イマイチなものはイマイチだと言える自分の目と耳を持っていたいと思います。それがこだわりと言われればそうかもしれませんね。

いつも本音で話ができる店長の藤原さん

PCI:修理についてのポリシーは如何でしょうか?

藤原:お客さんが50年代、60年代のオールドアンプを蘇らせたいとおっしゃる時、できるだけアンプ本来の音に忠実に修理をしようとは思いますが、何かを誇張したくはないんです。その当時のクオリティーにも限界があったと思うんです。それをハイエンドパーツを付けて、無理にアレンジするというのはやらない様にしています。

PCI:そういう本来のアンプ修理というのを忠実にやってくれるお店は全国にもあまり無いとお聞きします。

藤原:修理屋さんはあるにはあるんでしょうが、よく内容を聞くと、余計な部分もパーツ交換したり、とにかくアンプの構造をしっかり把握していないが為に、他の回路に無理をさせる修理が目立ちます。アンプの中を開けて配線を見るとめちゃくちゃなのが本当に多いです。海外のアンプでも、かなり適当でいい加減なものが多いですよ。無理やり基板を空中で浮かしてシリコンで固めて、とにかく繋がっていればいいだけというのも結構あります。そんなアンプを運んで搬入、搬出を繰り返していたらトラブルに決まってます。アンプは耐久力あってのものですから。

PCI:例えば、海外から届いたアンプで、音は抜群に良いが配線とかがめちゃくちゃで耐久性無く壊れてしまったとします。こちらへ持ち込めば、その本来の素晴らしいサウンドはそのままで耐久性のあるアンプに変わるということでしょうか?

藤原:その通りです。まずはアンプの故障した状況を聞いて、どうされたいのかを確かめます。しょっちゅうツアーに運んで常にフルアップの状態でも共鳴しない様にするとのことであれば、その使用に耐える様に修理しますし、状況が異なればそれに合わせていく通りもの修理の仕方があるんです。

真空管もレアなパーツもちゃんと揃っています。

PCI:なるほど、ツアーには出ず常にアンプを固定でいつも置いておく場合は、また別の修理になるということですね。お客さんの用途に応じて修理の仕方も違ってくるという事ですね?

藤原:その通りです。

PCI:お客さんの層としてはどういう方々が多いんでしょうか?

藤原:かなり広いです。高校生から60代の方々まで。ただ皆さん現役で実際楽器を弾いている方々ばかりですね。

PCI:藤原さんはご自身もミュージシャンですよね?

藤原:ええ、ギターとボーカルでバンドやってます。

エフェクターのコーナー

PCI:どんな音楽をやってるんですか?

藤原:Heavyなロックをやってます。真空管の名前から取って「BRIMAR」というバンド名で。(笑)11月には自主製作CDも出します。

PCI:お兄さんのほうは?

藤原:兄貴はジャズをやってます。ドラマーですね。

PCI:ミュージシャンという視点でもお仕事をされている訳ですね?

藤原:そうですね。ミュージシャン仲間も多いですしね。

PCI:それでは最後にPCIサイトの読者の皆さんにメッセージをお願いします。

藤原:PCIから新しい本物の商品をいつも紹介してもらって僕たちも大変助かっています。良い物をより多くの方々に使ってもらってその良さを実感してもらうのも僕たちの仕事なんです。PCIの扱っている商品のクオリティーの高さは最近多くのユーザーにも認知されています。PCIが扱っているっていうだけで、お客さんの見方が変わりますね。そういう良い商品をたくさん置いてある店には、そういう本物を求めるお客さんが集まりますね。個人的に大好きなものは、
Dr.Z/Mazerati
, AC Booster/RC Booster ,H.B.Eのエフェクター , あと、DemeterCompulator!これ最高。

PCI:有り難うございます。そういうイメージっていうのは大変大切ですね。遠方からのお客さんも気軽に来れますよね?

藤原:はい、気軽に来てざっくばらんに話をして頂ければ有り難いです。僕たちも本音で真剣に対応させて頂きます。

PCI:最近はリペアのニーズが大変高いとお聞きしますので、お忙しいのでは?

藤原:今までに、メーカーさんがたくさん製品を作って売ってくれたので、ユーザーが増えて、年数が経てば調子が悪くなるからうちが忙しくなる、と言われてしまえばそれまでです。ただ本来は受け皿がメーカーさんのはずなんですよね。ところが、メーカーさんは毎年の様にディストリビュータが変わり、ユーザーにしてみれば故障してもどこへ頼めばいいか分からない。新しい取扱店は現行商品しか修理してくれない。昔の商品はダメと言われますね。海外の商品も一杯入ってはきますが、アフターケアについてはあまりきちんと対応されていません。その受け皿は? 本国へ返すのかどうか? ユーザーにしてみたらそんなおかしな話無いですよね? お客さんは来週ライヴだというのに。(笑) そんな時、うちに一声かけて頂ければ何とかしますよ、という事です。

PCI:なぜ「ドクターMusic」さんが多くの全国のミュージシャンの駆け込み寺として話題になっているのかがよく分かりました。有り難うございました。(9/12/2003)

チューブアンプについて日米のエキスパートが語る!ドクター Music編 はこちら!

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