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2018年9月10日

PCI JAPANインタビュー#7(Makoto Izumitani)

Makoto Izumitani インタビュー

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LAの有名ジャズクラブThe Baked Potato に毎月出演し、いつも超満員になる人気バンド Stolen Fishで、女性ボーカル兼ギターのKaren Martin、ご存知スーパーギタリストのMichael Landau、フレットレスベーシストのChris Royと共に Makoto Izumitaniという日本人がドラムを叩いていました。 この4人は固定メンバーでCDも2枚発表済み。 現在新アルバム制作中です。
Stolen Fishの紹介については是非下記をチェックしてください。4人の写真とMichael Landauのギターが聴けます!

http://www.stolenfish.com

Stolen Fishのライブのスナップショットです。
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マイケル・ランドーとカレン・マーティン。 異色の取りあわせ
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リズム陣は、マコトさんと、クリスのXOTIC 6弦フレットレスベースで完璧!

さて、今回は他の3人のメンバーから絶大な信頼を得て、ライブではMCまで任せられているドラムのMakoto Izumitani、マコトさん。彼にBack Stage Storyをお聞きしました。

PCI:LAの人気バンドのそうそうたるメンバーの中に、日本人のドラマーを発見して驚きました。 お名前はなんて漢字で書くのでしょうか?

マコト:泉谷真と書きます。 

PCI:アメリカにはいつ来られたのですか?
マコト:10年前の18の時に高校を出てすぐ来ました。

PCI:日本の出身はどちらなんですか?
マコト:生まれは広島県の福山という所なのですが、父親の関係で2、3年に一度くらいのペースで引っ越しし続けていて、北海道、山形、東京、奈良、静岡、松山と住んで中学2年の時にまた東京に引っ越しました。それから高校卒業までは東京で暮らしました。 

PCI:アメリカに行こうと決めたきっかけはなんですか?
マコト:13、4歳の頃からDrumを始めてBandで演奏したり「つのだ☆ひろ」さんにドラムを教えてもらいに行ったりしてました。中学を卒業する時、ひろさんが「俺が推薦状書いてやるから、バークレーに行けば?」と言ってくれたんですが、まだ15歳でしたからやっていける自信がなくて。 その後高校の頃からアメリカでやりたいという気持ちが固まり始めたんです。L.A.へ来て1年MIという音楽学校のPIT、Percussion Institute of Technologyに通いました。ここではTOTOのDrummer, Jeff Porcaroのお父さんJoe PorcaroやFrank ZappaのBandにいたRalph Humphreyなどが教えていて、そこで勉強しました。 

PCI:結構早くからバンド活動をしてらしたんですね。どんな音楽をやってたんですか?

マコト:中学生の時は同級生ではなくて、学校以外の年上の人と一緒にやることが多かったので、ディープパープルや、レッドツェッペリンなんかを演奏してました。好きな音楽はその頃は流行りのポップスで、僕が小学生のころ最初に買ったレコードはケニーロギンスだったんです。そういえば、昔、Guitar playerのToshi Yanagiさんが毎週月曜日Baked Potato にCecilia Noelという人と出演していて、たまたまそのレコードで叩いてたドラマーTris Imbodenと一緒に出てまして。思い出のレコードのメンバーの本人に会えたんで、感激でした。 現在彼はChicagoのメンバーになってTour してますが。

PCI:Toshiさんとはいつからお知り合いなんですか?

マコト:面白い話なのですが、高校時代にハリウッドにMIっていう音楽学校があるって聞いて、興味を持ち始めていた時、当時の高校で音楽の間宮先生という人に、「あなたの先輩で、ロスの音楽学校で教えてる人がいるんだけど、彼が丁度来てるんで、一緒に食事しない?」って誘われたんです。それで行ってみたら、その時来てたのがToshiさんだったんです。丁度その頃まで、MIで講師をされていたらしくて。 

PCI:あっ、Toshiさんは高校の先輩になるわけですね? 高校で重なってた時期はあったんですか?
マコト:いいえ、6年違うので自分が入学した時にはもう卒業されていました。
 
PCI:Toshiさんに最初会った時はなんて言われたんですか?

マコト:初めて日本で会ったときは「来ない方がいいんじゃないの」みたいなことを言ってました(笑)。その時は連絡先ももらわずにもう会うこともないかなと思っていたのですが 結局、自分は自分でMIへ行って、しばらくたってまたこちらで再会することになりました。 

PCI:MIを卒業されてもう8年くらい経って、今ではロスの超大物とも一緒に活動されてますね。 今、Michael Landauと一緒にやってるStolen Fishでやることになったいきさつを教えてください。 
マコト:The Baked Potatoで他のバンドで出演してた時に、Stolen FishのボーカルのKarenがドラマーを探してると言って、電話番号を聞いてきたのがきっかけですね。 しばらくなんの連絡もなかったのですけど、半年くらいして一緒にやることになったんです。 最初ギターは別の人が弾いてました。一年位して、当時のギタリスト、Jimmy Mahlisがやめる頃に、MichaelがGigを見に来たんです。 彼は僕らが新しいギタープレーヤーを探してるって聞いて、「じゃー俺がやる」って言いはじめて。
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4人のフランクな意見が飛び交うStolenFishの陽気なリハの一こま彼らの仲の良さが伝わります。

PCI:Stolen Fishの演奏に興味を持ったんですね。

マコト:でも最初は信じてなかったんです。 その時は酔っ払ってて、なんか言ってるなーぐらいにしか思ってなかったのが、(笑)。 一緒にやることになって。 1999年以来もう2年ほど彼と演奏してます。 僕はその2年ほど前に始めてますから、 Stolen Fishとは結構長くやってますね。

PCI:アルバムも2枚出てますし、月1回のBaked Potatoでのライブはいつも超満員ですよね。 
マコト:そうですね。 一枚目のライブアルバムはJimmy Mahlisという人がギタリストでした。 2枚目はスタジオアルバムでMichael Landauとレコーディングしました。 

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ドラム叩いている時はとってもワイルドなマコトさん

PCI:Stolen Fish 以外にはどんな活動をされてるんですか?
マコト:Toshiさんと一緒に月1回ペースでやろうとしているGIGがあって、前回はBassのJimmy EarlというChick Coreaなんかと一緒にやってた人と、彼は今Robben Fordとtourしてますけど、KeybordsのDavid Garfield, それとToshiさんと僕の4人でやったんです。 次回はまた違うメンバーでやろうと色々声をかけてるんです。 ベースはPaul Simonなんかとやってたアフリカ出身のArmand Sabal-Leccoになると思います。 サックスとキーボードもいろんな人に声をかけていて、もうすぐ決まると思います。 

PCI:バンマスはToshiさんなんですか?

マコト:一応僕が皆に電話をかけて、メンバーを集めてます。

PCI:これも月に1回のペースでやってるんですか?
マコト:そうできれば良いと思ってます。

PCI:毎回豪華メンバーが集まるっていうのがすごいですよね。

マコト:Toshiさんもいろんな人を知ってますし。 前回もJimmy Earlとは初めて一緒にやったんですけど、面白かったですね。 

PCI:こう指をなめながら弾く独特の人気のあるベテランベーシストですよね。

マコト:ええ。 

PCI:David Garfieldとも時々やっているみたいですけど、彼のGIGにもすごい人が集まりますよね。 

マコト:そうですね。Paul Jackson JrとかFreddy Washingtonとかとも最近やってましたね。 

PCI:でも考えてみたら、マコトさんもそういうすごい人たちの中の一人ってことじゃないですか?

マコト:いやそんなことはなくて一緒にやったのも僕が電話してこっちからやりませんかと頼んだだけで、彼から頼まれてやったことはないんです。初めてやった時はDavidと、Toshiさんと、昔スパイロジャイロでベースを弾いてたOskar Cartayaという人と4人でやりました。 次の時はToshiさんができなくてその替わりにAlbert WingというDiana Rossなどの仕事をしているサックスの人と4人でやりました。 

PCI:ということは、Davidと何回もやってるわけで、彼もマコトさんを気に入ってるということじゃないですか?

マコト:彼が僕を呼んでくれる様になったら嬉しいですね。DavidとやったのはThe Beast from the Eastっていうグループなのですが、これは昔Toshiさんがつけた名前なんです。Toshiさんは様々な仕事を通していろんな人を知っていて、ギターもとても素晴らしく、尊敬してます。それ以外に、日本人のジャズのキーボードで、あやさんって人がいるんですけど、彼女のレコーディングなんかにも参加してます。 

PCI:こちらにいる人なんですか?

マコト:そうです。 日本でスムーズジャズみたいな音楽を中心に出しているレーベルがあって、 そこが興味持ってくれてるようなので、うまくリリースされるようになるとよいのですが。 

PCI:最初はロックばっかりだったのが最近ではいろんなジャンルの音楽をやられる様になったんですね。

マコト:そうですね。 ドラムをはじめたころはポップス、ロックしか聞いてなかったのですが、その後いろいろな人を通じて様々な音楽を吸収できる様になって、そうなるきっかけをくれた人達には本当に感謝してます。  

PCI:Michael Landauとは2年以上一緒にやっていらっしゃる様ですけども、何か面白いエピソードとかありますか?

マコト:Stolen Fishの前回のアルバムは彼のHome Studioで録音したんですよ。

PCI:家にスタジオがあるんですね。 場所はどこですか?

マコト:Pacific Palisadesという町にあります。 彼の音作りはとても面白かったです。 彼自身がRecordingとMixのEngineerを担当して、MasteringはBob Dylanの最近の作品なんかを手がけたJoe Gastwirtという人が行ったのですが、Michaelはもともとがギタリストですから、音作りがギタープレイヤーならではというのがありました。 例えば、ドラムなどにギター用のプリアンプでファズをかけたり、アナログディレイとかのペダルを使ったり。 たいへん面白かったです。 ディレイとかは是非ライブとかで使ってみたいと思ってるんです。 ドラムでそういうことやってる人あんまりいないですから。 

PCI:新アルバムも今企画されてる様ですね。

マコト:ええ、もうすぐスタートします。

PCI:次のもMichaelがプロデュースするんでしょうか?

マコト:そうです。これは僕の推測ですが、彼はずっとセッションギタリストだったじゃないですか。でも今プロデュースの仕事にも興味を持ってるんじゃないかと思います。 

PCI:David Garfieldなんかとやる時はどうですか? リハや打ちあわせはほとんどないそうですよね。 

マコト:はい。でもすごく面白いですよ。一応譜面とかは持って行くんですけど、こないだやった時もサウンドチェックにも来ずに、いきなり本番だったんです。やりながらどんどんセットリストを変えていったり。僕自身初めてやる曲もありました。本当に新鮮で面白いGIGですね。 

PCI:その辺の緊張感がライブの面白いとこですよね。 本当のその人の実力が出ますものね。

マコト:そうですね、たまにとんでもないことがおきたりもしますけども(笑)。

PCI:Stolen Fishではきちんとリハもやって、演奏する曲も事前に決まってるんですか?

マコト:いいえ、Stolen Fishでも簡単なリハだけで、後はライブでのノリを大切にしてます。リハやGIGで皆揃うことよりも、プライベートで一緒に食事をしたりすることの方が多いかもしれません。Karenに「今度うちでパーティーやるから来ない?」って言われたりとか、Michaelが「あそこのラーメン屋うまいから食べに行こう」とか。で、そんな音楽に関係ないとこで会ってる時に、今度こんなことやろうよっていう大きな企画が決まることもあるんですよ。 

PCI:そのほかに何か面白いエピソードはありますか?

マコト:こないだToshiさん、David Garfild、Jimmy Earlとやったときは最後の方で客として見ていたMichael Landauが酔っ払ってステージに突然上がって来たんです。それでToshiさんがギターを渡したんです。ちょうどその時客の中にQuincy Jonesのアルバムなんかにも参加しているBrandon Fieldというサックスの人もいて、「飛び入りで吹いてくれる?」って聞いたらサックス持ってステージに上がって来てくれたんですよ。突然、DavidとJimmyとMichaelとBrandonとやることになって。スタンダードの曲をやったんですけど、Michaelは酔っ払ってて、勝手に自分の好きな様にやるんですよ。DavidはDavidでこのテンポでこういうやりかたでやるって具合ですから、僕はどっちに付いていけばいいのやら。困りました(笑)結局、Davidが押しきったかたちになりましたけど。  

PCI:今後はどんなことを目標に活動なさるんですか?

マコト:いろいろな人達とPlayし続けてより多くの人に聞いてもらえるようがんばっていきたいと思います。

いつも笑顔で穏やかなマコトさん。音楽の付き合いだけでなく、なぜMichaelやKarenやChrisがマコトさんを好きで、プライベートな付き合いも深いのか判る様な気がします。今後アメリカでどんな活躍をされるのか気になる存在となりました。

投稿者 pcij : 2018年9月10日 22:13