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Jinshi Ozakiインタビュー

松居慶子バンドのギタリストとして、また多くの著名ジャズプレーヤーとのセッションギタリストとして超多忙な毎日を送る仁司さん。なぜ彼がこれだけ多岐に渡るミュージシャンに求められるのか、ギターの実力だけでない「何か」を持つ仁司さんの魅力を探るべく彼にインタビューしました。 彼の生い立ちやプロフィールなどについてはこちらで読めますので、今回はLAでの活動と今後の話を主にお伺いすることにしました。

〔ジンシさんによる、Dr.Zの試奏レポートが読めます。こちらまでどうぞ)

PCI:今日はアメリカでの活動に焦点を当ててお話をうかがいたいと思います。 まずは1989年ボストンのバークリー音楽大学卒業後、ロスに移られた時のいきさつから教えて頂けますか?

仁司:以前ロスに遊びで来た時ジャムセッションで知りあった友達を頼りにロスに移って来たんですけど、この街でどうやって自分はギターで仕事を取ったらいいか漠然として判らない時期が続いたんです。 引っ越しだとか車捜しだとかで3カ月くらい潰れてそれからどうしようかと途方にくれていました。 取りあえずギターとアンプを持ってその辺にあるジャムセッションを回ろうと思いついて黒人街のサウスセントラルにジャズ小屋みたいなのがあったんですよ。 そういう所のアフターアワーズのジャムセッションを狙ったんです。 

PCI:それはいつ頃ですか?

仁司:1990年ですから11年前です。 たまたまタワーレコードでジャズを聴いてたらいきなりそこの店員の二人の黒人に声かけられて「お前ジャズやるのか?」って聞かれて。

PCI:その時はギター持ってたんですか?

仁司:持ってなかったです。 

PCI:仁司さんからジャズの匂いがしたんですね(笑)

仁司:彼等が「今晩ジャムセッションがワールドステージって言う店であるからギター持って来いよ」って誘ってくれたんです。 たまたま僕もジャズをやる場所を捜してたので、そう言ってくれたのはタイミングが良かったですね。

PCI:その店もサウスセントラルにあるんですか? あのロスの暴動があった所ですから危ないですよね。 

仁司:危ないですよね。そこの1ブロック先で発砲事件があったという話しを当時はよく耳にしました。 そんな所でジャムする事がきっかけになって色んなミュージシャンと知りあいになれたんです。 そこで知りあったサックス吹のクウィントン(ジェフ・ローバーなんかと一緒にやっていたサックス奏者)に「俺のバンドでやってくれ」って言われたんです。 そしてその二週間後にリハーサルに入って、ブラック系のクラブでライブをやる事になりました。 LAのミュージックシーンをもよく分からないうちにいきなりプロとしてのファーストステージを経験する事になり、とにかくがむしゃらに弾いた記憶だけが残っています。超満員でした。 

PCI:それはどこの何て言う店でした?

仁司:当時はセンチュリーシティーモールの二階にあったクラブで、もう名前は忘れちゃったけど、(今はもう経営が変わっている)ブラック系のディスコなんですよ。 そこでやってた時に一人のサックス奏者に知りあったんです。 ロン・ブラウンって言って今でも現役のR&Bのアーティストでこの写真に載ってる人です。 


右がロン・ブラウン

彼が「You have a good feel!」って言ってくれて僕をバンドに誘って、それで次の週にまたブラック系のレストランでジャズGIGをやることになったんです。

PCI:その店もセンチュリーシティーだったんですか?

仁司:そこはサウスセントラルでした。 

PCI:ロスのサウスセントラルにはジャズの店はたくさんあると言うことですね。 

仁司:その店はもうあるかどうか判らないんですけどね。なにせ7~8年行ってないので。ロンとやったのはNatural Food Restaurantの(Good Life)という店でした。憧れのケニー・ギャレット(Sax)と初めて出会った場所です。 ケニーは当時からストレートアヘッド・ジャズミュージシャンの中では若手ナンバーワンでした。 ロンが最初ケニーを連れて来るって言ってたので、「ケニーがこんな所に」と初めは信用してなかったんですよ。 そしたら本当にサックス持ってやって来て、そして「一緒にやらしてくれ」って僕達とセッションする事になったんです。 丁度ロスに来てから半年以上経ってからのことでした。 彼は今ではもうジャズ界のスーパースターになっちゃいましたね。 なぜか知らないけど、そういう本物のアーティストって壁が無く気さくに友達付き合いをしてくれるんです。 飯とかうちに食いに来たり。 実は僕、以前本職で板前してた経験があったので僕の料理をとても美味しいと喜こんでくれました。