第四回
ポール・リヴェラ
その3

<先々月からの続き、さてラリーカールトンのブギーを落してしまったリベラ。その先は…>
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「おっとゴメン。面白い所で電話が入ってしまった。
ちょっと待っててね!すぐ終わらせてもどってくるからね」
(おいおいこちらが汗だらだら出てきちゃったよ。そのあとどうしたんだろう?だからラリーはこれでブギーからダンブルに切り替えたって事なのかな?あのメインのブギーは今はもう無いなんて。しかもポール リヴェラが壊しちゃったなんて!
でもそんな事よく話してくれたなあ。普通はそんな失敗談は黙っておくよね。早く先が知りたいよー。しばらくしてリヴェラがニコニコして戻ってきた。こっちはもうその先が知りたくて知りたくて!)

>エッ!それからどうしたの?!その日のギグはとっても大事だったんでしょメインのNo1は直ったんですか?
「いや、それでも気を取り直してラリーに急いで連絡し、もちろんその晩のギグには間に合わないのでNo.2でこなしてもらったよ。ラリーは『ノー プロブレム!』って言ってくれたけれど、、、まあその日のギグはなんとかそれで済んだ訳だよ。その当時バレーアーツ内で自分がAMP技術担当で、同時にMESA BOOGIE社のロス地区の公認リペアーマンだった話はしたよね。そこですぐ次の日サンフランシスコから新しいシャーシを送ってもらってNo.1のパーツを全て移し代えててラリーのAMPは直ったんだ」
>へー そんな事があったんですか。あの時のラリーのブギーはこわれちゃったんですね。よくもまあそんな貴重な、それもそんな恥ずかしい話をよく聞かせてくれて、、、だからダンブルに替えたのですか?
「もっと話を聞きたいかい?ラリーは『音は変わらなかったよ』って言ってくれてたけれど。その後何年かして私がバレーアーツからフェンダー社に行った後も彼等とは仲良くしていたんだ。そんなある日こんな事があったよ。バレーアーツには地下のスタジオがあって、ある時AMPブラインドテストをして、どのAMPがこの町でNo.1か皆で決めよう!という事になったんだよ。色々なAMPを集めて、ラリーやロベンが代わる代わる弾くという、そんな事を良くやっていたんだよ。勿論自分のAMPも持って行ったよ」

>それはオリジナルのAMPですか?
「いや、それはフェンダーツインだったよ。モディファイしたね。何人かがそれぞれ自分の自慢のAMPを持って来ていたなあ。
その中にハワード・ダンブルという男がいたんだ。彼は椅子に『ドカッ』と腰掛けて、どうぞ好きにやってくれよと言わんばかりの態度だったよ。
私達皆は何台も何台も注意深くテストしながら最後に私のAMPとダンブルAMPが残り、私はといえばその間じゅうずっとラリー達に気に入ってもらおうとAMPのTUBEを変えたりバイアスを調整したりと上の階にいたスティーブにドライバーを借りに行ったり来たりドタバタと、、、」
>スティーブってあのVHTのスティーブですよね。彼もバレーアーツにリヴェラの後釜でAMPセクションに入ったって言っていましたよ。
「そうそう。そうなんだよ。でも、ダンブルはずっと椅子に腰掛けて腕組みして目をつぶってずーとこうだったんだよ<大笑い>
で、結局その時は満場一致でダンブルのAMPがナンバー ワンという事になったのさ。それからだよ。ルークとかクリストファー・クロスとか皆手に入れたでしょ?彼等に続け!といわんばかりに。ケニー・ロギンスとかみんな、皆ね」
>彼にAMPの注文が殺到したわけですね。
「あのAMPは凄かったなあ。『お前まだダンブル手に入れてないのか?』てな具合にね」
>そうか、だからその時を境に一斉にロベンとかカールトンとかロス中のギタリストが飛びついたのがダンブルの神話ですね。凄い面白い話ですよ。そんな事があったんですか?でもそんな凄い事やっていたんだ。当時のバレーアーツって。やっぱり凄いなあこの町って』
    
   
  あとがき

リヴェラさんって随分オープンなんですね。普通のメーカーだったらそんな話はしてくれませんよね。だって自分のAMPが負けた訳じゃないですか。でもこっちの人はお互いに良いところは誉め合うというか認め合うというかそういう所が良いですね。
そう言った中での自由競争があるから、本当に良いものが出てくるという土壌があるような気がします。
たとえ、それが無名の物であったとしても良いものは良いし、ブランド物でもダメなものはダメとハッキリ言いますよね。そこに対しては全然恥ずかしい事は無いという。
前にドン・グロッシュが、『最初ラリーのギターを始めて触った時は震えたけれど、そのうちにそれが毎日の事だから慣れてしまったよ』って言ってたけれど当時も今もここではそんな気の抜けない仕事が毎日のように起きているので、日々のノウハウの蓄積量が凄いんだろうなあ。
良いものが出来る環境は整ってるよなあ。ポール・リヴェラは僕の質問に対しても終始ニコニコしながらおよそ4時間にも及ぶ時間を一緒に過ごしてくれました。
機械いじりや車が大好きで少年のまま大人になった感じの人で、目をクリクリしながら身ぶり手ぶりのオーバーアクションで熱く語る彼のAMPがこの辺りで人気があるのもうなずけるような気がしました。
その後も何回か訪ねて行くうちにローランドやヤマハでも技術顧問をしていて日本にも何回も行っていたりした事、またその時代の機材や裏事情もかなり詳しく、またスピーカーのマウント方法やエレクトロボイスSPの磁石の事などかなり難しい専門な事も教えてくれました。
その辺りの話もかなり面白いので機会をみて是非UPしていきたいと思いますので楽しみにしていてください。
技術関係の人って難しい専門用語を並べて高度な話しをする人と、こちらの知識のレベルまで降りてきてくれて、分かりやすい言葉で説明してくれる人と別かれるとすればポール・リヴェラは間違い無く後者だと思います。
今回の話で『ポール・リヴェラ』はひとまずおしまいです。お忙しい中、ポール リヴェラと御家族のみなさん、スタッフの方々には色々と親切にして頂いて、本当にありがとうございました。

 

 
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