第17回目:運命と選択

20年もミュージシャンしていると、音楽が生み出される環境も
目まぐるしく変わっていきます。

プロになった時、私はまだ大学1年生でした。
音楽活動と並行して、数々のラジオ番組なども、
ラジオパーソナリティーとして担当していました。
その中の代表番組のひとつに、深夜放送(レトロな響き)
"ミスDJリクエストパレード" なんていうのもありました。

その頃、日本では”女子大生ブーム”というのがあって、
私もその波に乗ったような感じでその仕事をしたわけだけど、
ミスDJが顔を揃えるイベントでは、自分はとっても浮いていましたね。(笑)
私は女子大生だったけど、いわゆる女子大生!という感じではなかったし、
芸能人!という雰囲気でもなかったと思います。
(他の女子大生達の方が、よっぽど芸能人らしかった。)

曲がヒットして、
ベストテンやトップテン(その頃メインだった音楽番組です)などに出演しても、
楽屋では、正直どうしたらいいかわかりませんでした。
柏原よしえさんや(あの頃絶頂のアイドル!)
他のアイドルさん達が楽屋の鏡の前にどっしり?座ってお化粧していて。
そんな中、私は楽屋の片隅にちょこんと座って
自分のちっちゃなコンパクトで顔をのぞいていました。(笑)

私は、小学校の5年生の頃から、
自分がプロの音楽家になる事がわかっていました。
心にインフォーメーションがインプットされていたのです。

国立(くにたち)音高卒業直後の18才の時、
両親が私の成人式のお着物代として用意しておいてくれたお金を使わせてもらって、
シンセなどの器材を手に入れ、自作曲を10曲ほど収録したデモテープを数本作りました。
そして、キーボードマガジンなどの音楽雑誌の募集記事などをもとに、
そのテープを数カ所へ送ったのがきっかけで
レコード会社(ビクター)と契約を結ぶという事になったわけなのですが、
実は、ビクターにはデモを送っていませんでした。
どこからどうしてそうなったのか、巡り巡ってテープがビクターに届き、
その頃第3制作部というところでディレクターをしていたKさんという人が、
私のテープをあまり気に入らなかったらしく、(後ではっきりと言われました。笑)
同じ制作部の和田さんという人に譲り渡してくれたんですよね。
で、彼は私に可能性を感じてくれた。

表参道にあったビクターのビルで、
その和田ディレクターと打ち合わせしながらお茶を飲んでいた時に、マクロスの話が出て。
(注:マクロスとは、私の名が世の中に知られるきっかけとなった歴史的アニメです。)
『明日、オーディションがあるから行ってみてくれる?』
で、オーケーオーケー!みたいな感じで、次の日、原宿のとあるスタジオへ。

オーディション会場には、私の他に、劇団に所属しているような女の子達が数人。
ひとりずつ、ミンメイ(私が演じた美少女)のセリフを演じて、
歌を歌って下さいと言う事でした。
それまで、自分のオリジナル曲をピアノ弾きながら歌ってきた私なので、
オーディションでも、自作曲を弾き語りでやらせてもらいました。
(Shine Loveという曲。デビューアルバム”ロゼ”に収められています。)

それから1週間後に、”ミンメイ役に決まったよ!”という電話が、
ビクターから学生寮にかかって来た時点では、
その後の人生がどう転がるかなんて、全く予想もしなかったのです。

あれよ、あれよという間にマクロスTVシリーズの人気が出て、
私の顔もアニメ雑誌で紹介されるようになり、
いつのまにか、人々は私をミンメイちゃんと呼ぶようになり。(笑)
シンガーソングライターとしてのデビュー後も、
私のレコードは、何を間違ったか、アイドルのセクションに置かれ。(笑)
とまどいは大きかったです。

前にも言った事があるかもしれませんが、
世の中には、”偶然”というのはないのです。

マクロスとの出会いは私のたどる運命のひとつ。愛でいっぱい、抱きしめます。

自分の中身と、一人歩きした自分のイメージとのギャップにあれほど悩んでいなければ、きっと私は日本を離れる事はなかったと思います。
人は、時にサバイバルモードで運命の選択をします。それも良し!です。
魂の叫びは、必ず空に届きます。

We can't control our fate. But we can make choices.

生まれてから経験して来たでこぼこのひとつひとつが点となり、
繋がりながら、人生のドラマを形成しています。

幼稚園生の時、私は”白雪姫”を演じました。
小さい頃から、人前で歌ったりピアノを弾く機会も多かった私ですが、
もしかしたらあれが、私にとっての初めての大きなステージだったかもしれません。
−女優する−という事も、生まれた時からの自分の運命のひとつだったという
神様からのヒントかもしれません。

そして、音楽も!

人間の可能性は無限です。

恋焦がれて書いた曲
恋にやぶれて書いた曲
永遠を誓って書いた曲
子を生んで書いた曲
ミルクを与えながら書いた曲
別離を決めて書いた曲
痛みながら書いた曲
乗り越えようと書いた曲

私は今、心の平和を感じながら曲を書いています。

May 18 2003 on My Birthday   真理


お知らせの数々

6月27日、昨年発売されたシングルのリミックスバージョン
−Eternal Love 2003− 
(バンダイビジュアル - ASIN: B00009KM1K)が発売になります。
カップリングは新曲 Fly Away (Written, Produced & Arranged by Mari Iijima )
応援して下さい!

Mari Iijima Live 2003 "Silent Love"
8/16(土) 大阪 バナナホール 開場18:30 開演19:00
8/17(日) 東京 表参道 FAB 開場16:30 開演17:00
8/18(月) 東京 表参道 FAB 開場18:30 開演19:00
料  金:¥4500(ドリンク代¥500別)
全会場:オールスタンディング
お問い合わせ:キョードープロモション 03-3407-8327
一般発売:チケットぴあ 6/15(日)発売開始予定

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